”何人”辞めるかではなく、”誰が”辞めるかが大事!
こんにちは!
株式会社Tobe-Ruの戸澤です。
今回は”離職”をテーマにまとめていきたいと思います。
「離職率」をKPIなどにしている会社も多いようですが、私は会社や部門による離職率のKPI設定には反対です。
もちろん、1つの指標にすることは大切だとは思いますが
・離職率が低いから素晴らしい
・離職率が高いからピンチ!
という判断をしてしまうのはあまりにも安易すぎると思います。
私が唱えたいことは”何人”辞めるかではなく”誰が”辞めるかが大切だということです。
▼現在の転職市場とは
転職市場は①転職希望者の数、②求人数の数の2軸で捉えることができます。
コロナ前とコロナ禍(現在)でみると、若干状況が変わっています。
コロナ前までは、企業側は生産性を上げる以上に数を増やしながら企業成長していく傾向が多く見られたことにおり、求人数も多く、転職希望者も多かったわけです。転職市場における求人倍率はピーク時は3%前後となりました。
しかし、コロナが始まった2020年以降は、企業側の採用控えが始まりました。一方で転職希望者の数も減ったかというと、減ってはおらず、むしろ増加傾向にあります。(2019年:約840万人→2020年:約860万人→2021年:約890万人)
よって求人倍率は1.6%台まで下がりました。2022年現在はコロナも落ち着き、若干の上昇傾向には見られますが、これからは量以上に質を重視する時代に入ります。特にDX推進は多くの企業が中長期戦略には入っておりますので、いかにDX推進に寄与できる人財を獲得するか、いかに効率的かつ合理的な業務を遂行できるか、ということが課題となっております。
ここまでをまとめておきます。
▼離職率だけを追うと質の低い組織が完成する
先述した通り、転職希望者は伸び続けております。求人数が絞られるということは、有能人財の流出のリスクが高まるということであり、求人数がコロナ前のように伸びていくと、人財の流出リスクが高まります。
いずれにしても流出のリスクは伴うわけです。
私が離職率をKPIに設定することを反対している意味は、2点理由があります。
昭和の時代は「3年間は修行の場。3年経って1人前。3年間はなるべく辞めるな!」という精神論の時代は終わり、今では新卒社員にも即戦力が求められる時代ですし、若手社員も早くからの成長を望んで入社してきます。
エイジェント側も以前は「3年間は職務経歴書に傷がつくから辞めない方がよい」と助言していた人も今では「辞めたいときが辞め時」という助言をする時代です。
入社初期段階からも従業員本人が成長実感できる仕事を与えないと転職リスクは高まるわけです。
そして2点目の理由ですが、下図のA社とB社を比較したときに、ともに離職率が15%だったとして、企業価値は同じでしょうか?
違いますよね。中長期的に見ると、A社の方が企業価値は高く、中長期的に成長が見込めます。
離職率だけで組織を図ってしまうことで、このような本質的課題が見失われたりしてしまいます。
企業ごとでの有能社員(人才や人財)の定義づけをして、定義に基づいたレイヤーごとに、キャリア設計を立て、1on1ミーティングをするなど、企業側が求めるものと有能社員が求めるものの相互理解を深め、進めていきましょう。
有能社員の定義は企業ごとで異なるものの、共通して言えることは、有能社員さん達は、行動力があります。つまり、転職市場に飛び込むもの、独立するもの早いというわけです。逆に「しんどい社員」さん達は、このような行動意欲も劣ります。
離職率だけを気にしてしまうと、気づいたら離職率は下がったけど、B社になっていた、なんてことのならないように、緻密なKPI設計と計画を立てていきましょう!
▼離職率KPI設定することによるあるある悪循環事例
1つ離職率のKPI設定をすることによるよくある悪循環の事例をご紹介しておきましょう。
人を辞めさせないことを目的になってしまうことで
●教育や評価のパッケージ化(画一的な組織施策)
●わがまま社員のヒアリング
などが生まれていきます。
上記のような流れが出来てしまうと、有能社員が育成に疲れ、結果、有能社員の離職に繋がり、労働生産性が下がるリスクが高まります。
しっかりと
・”誰”をどのように伸ばしたいのか
・会社にとっての理想的な成長キャリアは
・”誰”に耳を傾けるべきであるのか
を定め、会社にとっても、社員本人にとっても価値のある動き方をしていきましょう!
▼本記事のまとめ~”退職”と”卒業”の違い~
私は前職時代でもずっと”退職”と”卒業”を切り離して考えていました。
もちろん、離職率が高すぎてはいけないでしょうし、持続的企業成長するためには、下げることも必要かもしれません。
しかし、たとえ離職が発生したとしても、上記の定義で言う「卒業」生が増えることで、卒業後も、資本関係ができたり、パートナーシップを組めたり、お互いのアセットを共有することができたり、と新たな広がりができるかもしれません。
少なくとも私はそう信じています。