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受験生の親にできること。

いよいよ今年も受験シーズン本番ですね。受験生がいるご家庭では、ピリピリした様子の子どもを気遣いながら日々を過ごしている方も多いのではないでしょうか。

この時期になると、毎年「受験生の我が子のために何をしてあげたらいいですか?」といった切実なご相談をいただきます。「これをやったらいいですよ」と明快に答えられたらよいのですが、実際には本人以外ができることは限られています。普段から子どものことを大切に思っている中で、それ以上に特別なことをしてあげるのは難しいものです。ですので、まずは食事や睡眠などの生活の土台をしっかり支えながら、親もできるだけ普段通りに過ごしてみてください。

ひとつ覚えておいていただきたいのは、親子関係に限らず、誰かのために「何かしてあげたい」と思ったときには、何をしてあげようかと考えるよりも、「何をしないほうがいいのか」を考えるほうが、結果的にうまくいくことが多いということです。

だからこそ、「子どものために何をしてあげたらいいのか」と悩む方には、「子どもに何をしないように気をつければいいか」を考えてみてくださいとお伝えしています。例えば、勉強しない子どもを一方的に叱るのはもちろんNGですが、直接「勉強しなさい」と言わなくても、勉強していないときに何か言いたげな顔をして不機嫌になるのも、子どもにとっては重苦しく感じられるものです。

受験直前は、親も子も不安になりますが、特に子どもはその不安を自覚しづらく、うまく言葉にできないことが多いものです。危機感がないように見える子や、サボっているように見える子も含めて、みんなが自分の漠然とした未来に不安を抱えています。つまり、勉強に必死に励んでいる子も、そうでない子も、その子なりに「自分の将来」というよくわからない大きな課題に向き合おうとしています。

だからこそ、親はそんな子どもの心の支えになってあげてください。「受験の結果がどうであれ、私はあなたの味方だよ(でも、あなたの努力の結果はあなた自身でちゃんと受け止めなさい)」という気持ちを、間接的にでも伝えることで、子どもはきっと前を向いて受験会場に向かうことができるはずです。

西日本新聞「こども歳時記」2023/1/23

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