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介護の仕事のススメ。

ふと小学生の頃の道徳の時間を思い出した。
”人に優しく親切にしよう””人を助けよう、助け合おう”

そんなテーマだったような気がする。

その時に、『そんな事が仕事にできたらいいな』と思ったような気がした。
小学生の頃の僕の大人になったらの夢は”ごみ収集車の後ろに乗る人”だったので、それはそれで人に優しい仕事かもしれない、と思っていたような気がする。
もう30年以上前の記憶なので超曖昧ですけど。

さて、たとえば45歳の30年前は15歳、30年後は75歳です。
僕にとって30年以上前の記憶は遠い昔の記憶であって、もう遠い過去のモノで延々と歩いてきた道筋が僕の人生の歴史になっているわけですが、僕らが仕事で援助させてもらっている高齢者の年齢って、だいたい75~90歳くらいなんですよね。

そう、利用者さんの境地に至るには、これまでの人生と同じくらいの時間を積み重ねる必要があるわけで、やはりそれだけの人生の重みを背負って誰かの助けが必要になった利用者さんにとって、僕自身はさり気なく援助をしてきたいな、と改めて思いました。

介護の仕事は大変だ、とかネガティブなイメージがありますが、たとえば本当にそれだけなら、きっと介護現場の人手不足はもっともっと早い時期に深刻になっていただろうし、担い手はいなかったと思います。

離職した介護職や一度介護の現場を離れて戻ってきた介護職に理由を聞くと『やっぱり介護が好き』という理由が多いんです。

僕もなぜ介護の仕事をしているのかを問われたら、まずは『好きだから』と答えるでしょう。

職員にもよく伝えているのですが、介護現場の仕事は”生き方”だと思っています。

何度かnoteの記事でも書いてますが、介護の仕事は”絶対的な強者”が”弱者”を助ける仕事なんです。

単純に言えば、仮面ライダーとかゴレンジャーとかウルトラマンとかのヒーローみたいなものです。
老いや障害という”敵”から利用者さんの生活を守るヒーローが現場の介護職です。
時のはとてつもなく強い”敵”に立ち向かわざるを得ない状況になったり、たった一人で何人もの助けを求める利用者さんを救わねばならない。

そして”弱者”である利用者さんの生活のあらゆる面での決定権を”強者”である介護職が持っているので、その人の生活の質をどうするかも介護職の両手に委ねられていたりしてとても重要な役割を背負った仕事と言えます。

なので僕は”生き方”という言葉を使って職員に伝えています。
自分たちが提供するケアは、それがそのまま自分たちの生き方を映しているものなんだと。

これは倫理の問題にも繋がりますが、介護職の一人ひとりの自分たちの仕事や役割への意識の差が、ケアの質に直結します。

人が足りない、賃金が安い、業務が忙しい・・・いろいろと余裕がない状況は確かにありますが、個人的には安易にそれを理由にして”できない理由”を準備してしまうのは良くないと思っています。

結果、理想とするケアに届かなかったとしても、常に自分の”生き方”とは正面から対峙していてほしいと思います。
たまには逃げてもいいだろうし、負けても失敗してもいいだろうと思いますが、常に諦めないで自分の”生き方”を追求してほしいと思います。
自分が胸をはれる”生き方”ならそれでいいと思います。

多くの介護職が、介護の現場が好きだ、という理由の根拠が、きっとこの否応なく”自分と向き合わされる”仕事を通じて自分と対峙することで、自分の成長を感じ、そしてその成長がダイレクトに利用者さんの人生を良くしていく体験が、何者にも代えがたい経験になったからだと思います。

介護の仕事は、利用者さんや職員といった人の数だけ無限に可能性が広がる仕事です。

その中で、自分だけの化学反応が起こせる仕事は、なかなか他では経験できない人生の経験を得られる仕事だと思っています。

そしてなにより、人を助ける・助け合う事って、そもそも人間らしい事だと思います。

自分の人間らしさを仕事で生かせるのも、介護の現場ならではなのではないでしょうか。

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