【石山麗子】ケアマネ法定研修の見直しに向けて備えるべきこと 適切なケアマネジメント手法を学ぼう!・・・という記事の紹介です。
「適切なケアマネジメント手法について知りたい」。そんな問い合わせが途絶えません。この手法は、来年度から始まる介護支援専門員の改定版の法定研修カリキュラムに導入されます。
来年度からケアマネジメントについての手法が新しく統一されていく、という事で事前に内容などを把握しておきたい方が多いようですね。
来年度は介護保険制度の改正もあるので、いろいろな要件やルールが変わったり新しい加算や仕組みが出来たりするわけですから、今のうちに出てきている情報については早く取り込んでおきたい所です。
適切なケアマネジメント手法は、法定研修5課程のうち4課程に導入されます(下表参照)。もっとも、適切なケアマネジメント手法という科目が創設されるわけではありません。現行カリキュラムのうち、主に事例演習のある科目にこの手法が溶け込み、この手法を基にした知識、思考プロセスを踏んで事例検討を展開する仕立てです。
ちょっと疑問なんですけど、この”適切なケアマネジメント”という表現ですが、今までやってたケアマネジメントが不適切であるかのように読めてしまうので他の表現とかなかったのかなぁと思いました。
更にケアマネジメントを深化させる方法を標準化していきましょう、という事だと思うんですけど・・・。
もしかして本当にダメ出しの意味で使っているわけではないですよね・・・。
これ普通に読んでしまうと、これまでのケアマネジメントに問題があったと世間一般には受け止められてしまいそうで、え?今までのケアマネジメントって適切じゃなかったの?という疑問が出てきそうです。
そもそもですが、結構な高額な更新研修や各種研修を積極的に実施しているケアマネの資格維持の仕組みなんですけど、今更”適切なケアマネジメント”をカリキュラムに入れないといけないような状況なんですか?と部外者ですけど不安になります。
だとしたら、これまでやってきた研修って何をやってきたんだろう・・・と別の疑問も生まれるわけです。
適切なケアマネジメント手法に該当する科目が最も多いのは、実務研修です。この中では、“適切なケアマネジメント手法とは何か”という基礎から学ぶことができます。
専門Iでは、この手法を用い、研修テキストに示された事例で考え方を学びます。専門IIでは自分自身の実践事例を持ちより、この手法を用いて自らの実践を振り返ります。
やっぱり基礎からの学習になるようですが、ケアマネって資格取ったらすぐに研修受けてたような気がするんですけど・・・。
実務研修を受講しないと現場で働けなかったような・・・。
実務研修ですよ、そこで普通は適切なケアマネジメントというのは教えられているはずなんじゃないの?って思ってしまいました。
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やはり資格試験に合格した人は必ず受講する研修のようです。
しかも87時間の講義と演習と3日間の現場実習が必要な研修です。
1日8時間頑張っても10日以上はかかる講義と演習ですし、3日間の現場実習で本来なら”適切な”ケアマネジメントというのは観て聴いてある程度習得できていておかしくないような気がします。
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そして、この研修には52800円と手数料1500円が必要になるわけですので、結構な大金をケアマネは支払って受講してきたのに、それをいまさら来年度から適切なケアマネジメントも勉強しましょうね、と言われても腹が立つくらいの効果しかなさそうな気がします。
一方で、主任介護支援専門員研修にこの手法を用いた科目はありません。ここでは、既に自らこの手法を用いて実践できていることを前提とし、新任者や現任者の指導・助言を行うこととなっています。
主任ケアマネは”適切な”ケアマネジメントが出来ていて当然、という前提は良いと思いますが、この主任ケアマネという資格は、ケアマネ事業所の管理者要件になるはずの要件だったはずですので、普通にちゃんとしている事業所であれば主任ケアマネを配置しているはずなので、そうであればなおさらですが、改めて新しいカリキュラムを作ってわざわざ”適切な”ケアマネジメントというものを教えなくとも、現場レベルで行き届くような気もします。
もう一つ思うのは、上記の前提が壊れるんですけど、何をもって主任ケアマネが”適切な”ケアマネジメントを習得していて、指導できる状態になっていると評価したのでしょう。
これまでの研修で不足していたからか、もしくはこれまでのケアマネジメントが適切でなかったから、改めて”適切な”ケアマネジメントという名目でカリキュラムを増やすのに、事業所で指導する立場の主任ケアマネがこの新しく示される”適切な”ケアマネジメントの内容を知らなかったり、誤解したりしていた場合、研修を受講して正しく学んできて、それを実践しようとするケアマネに対して、そうじゃない、そんな事をしなくてもいい、なんて指導する主任ケアマネが出てきそうな気がしますし、間違いなく出てくると思います。
そういうのわかっていて主任ケアマネには改めて教えなくていい、としているならいいんですけど、これからますます貴重になるケアマネジャーがそんな理由で退職したり現場を離れてしまう事になるのは残念過ぎるので、本当にそうならないようにしてもらいたいと思います。
日本中のケアマネジャーにとって、一様に、この手法は新たに学ぶものということに変わりはありません。
しかし法定研修は、その課程別に、階段状にレベル設定されています。そのため、この手法の基礎を学べるのは実務研修だけなのです。
実務研修で教えるだけ、という事のようですね。
しかし疑問なのは、新しい(マネジメント)手法を教えるのに、書式や書類はこれまで通り同じものを使いまわすのはどうだろうか・・・という事です。
実務する感覚で考えた時に、これまでと同じ書類で作業する場合、おそらく新しい手法を学んできたとしても、これまで通りの手法で手慣れた方法でささっと処理しやすい書類であれば、おそらく新しい手法でマネジメントしよう、なんて方向にはなりにくいと思います。
こういうの最初が肝心だと思うんですけど・・・。
現任のケアマネジャーは、当然ながら実務研修を再受講することができません。専門I以降の受講者の場合、既に適切なケアマネジメント手法を学んだものとして研修が進められていきます。
つまり、ケアマネジャー現任者は、2024年度以降の法定研修を受講する前に、適切なケアマネジメント手法を法定研修以外の場で学び、ある程度実践できるように準備しておく必要があります。
これ、個人的な感想ですけど、すごく不親切だと思いました。
結構な額の更新研修を受けているんですよ、ケアマネって。
そこで教えればいいんじゃないの?って思いましたね。
あるいは、自学自習をせずに最新のケアマネジメント手法を習得できていないベテラン層をふるいにかけて現場から外す意図があるなら別に反対はしませんけど、そんなことしたら介護サービスが回らなくなりますよ。
ただでさえケアマネ不足で、能力があって仕事が出来るケアマネに件数が偏っている現状は絶対にあります(前職の複数の職場でありました)。
そういう有能なケアマネからキャパオーバーになってつぶれていくんです。
そういうケアマネに余裕はないんですよ、仕事だけして生きてるわけないんですから。
特に2024年度以降、主任介護支援専門員研修を受講する予定の方は、向こう約10年、法定研修で適切なケアマネジメント手法に触れる機会がありません。その頃には多くのケアマネジャーがこの手法を習得していますし、来たる主任介護支援専門員更新研修では、適切なケアマネジメント手法を踏まえて指導した事例の提出を求められます。これに該当する方々は、特に遅れないように注意を必要とする層です。
主任ケアマネも少なくなりそうなのに更に目指す人が減りそうな感じがする内容ですね。
それに、こんな事を書かれたら怖くて主任ケアマネの研修に出れませんよ。
研修の場で怒られたりつるし上げに合いそうですし、自信なくしそう。
僕ならこんな事言われてまで主任ケアマネは目指さないかなぁ。
今回の法定研修の改定では、法定研修と法定外研修を連動させてケアマネジャーの資質向上を図るべき旨も示されています。地域で行われる研修のテーマに適切なケアマネジメント手法を取り入れ、地域のケアマネジャーがこの手法を学び、皆で一緒にサービス担当者会議、地域ケア会議、事例検討会などで活用し、慣れていけるように準備していけるとよいでしょう。
そもそも論なんですけど、ケアマネジメントって誰かの人生をその人らしく過ごせるように支えるためのマネジメントだと思っていて、10人いたら10通りのケアマネジメントがあって良いと思っていますし、そうあるべきだと思っています。
だけど、もうすでにある程度のパターン化が出来ちゃってますよね。
そしてそれをもっと推し進めようとしているのがAI活用だと思っています。
特に地域資源が少ない地方だと、活用できるサービスが限られるのでマネジメントの幅も拡がらないと思うんです。
適切なケアマネジメントが出来たとしても、そこに資源がなくて活用できないのであれば使えないわけですから、そういう社会資源の多寡によってのマネジメント手法の切り替えというか、考え方というか、工夫の仕方というか、そういう事の方が地域包括ケアシステムを構築していく上では大事なんじゃないのかなぁ・・・なんて思いました。