土用干し?ああ、昔は良く言ったけどな
渉外担当者が事務局を受け持つ農協の組織活動で、自分が事務局になっているのは米出荷組合。
米出荷組合に入っている農家さんは、みんな米作りの話題は特にたくさん話してくれる。
八十八歳のお祝いを、米寿と言うように、「米」の漢字は八十八と書く。
それは、お米を作る手間が八十八あるからだそうだ。
八十八の全ての手間の名前はわからないけど(笑)。
他に、5月に聞いた言葉で、「しろかき」という作業があった。
田植えを機械で行う現代は、特に重要な作業。
水が張った田んぼの土を、トラクターで平らに均す。
この均す作業の「しろかき」をしっかり行って、水面下の土の高さのバラツキを、できるかぎり無くしておかないといけない。
田植え機の爪は植える高さが一定。
だから、土壌の高さが均一でないと、届かずに水に軽く沈めただけの苗が、プカプカ浮いてきてしまう。
伊東幸司さんの家に訪問したところ、いつもはおじいさんとおばあさんのどちらかは大抵いるはずの家は留守で、庭先を覗いてみても、姿が見えない。
すると、敷地内の別の家から、そこに住む長男のお嫁さんが縁側の窓を開けて、声を掛けてくれ
「お義父さんとお義母さんは2人とも田んぼへしろかきに行ってます。たぶん、しろかきだからすぐは帰ってこないと思う」
「あ、しろかきですか。わかりました、また日を改めてお伺いします。ありがとうございます」
というやりとりがあったりした。
7月。今度は「土用干し」という言葉を知った。
どようぼし。
土用の丑の日と関連があるらしい。
田植え後の苗が成長し、背丈が伸びてきたら、根っこに酸素を送る作業。
田んぼの水をいったん止めて、田んぼの土がヒビ割れて、根っこに空気が届くようにして数日おき、また、水を入れる。
その作業の時期が、ちょうど土用の丑の日の頃と同じだったから、土用に田んぼを干す、「土用干し」と言ったそうだ。昔は。
10年、20年、30年前と比べて、日本の気候は極端になってきた。
春が短かったり、秋を待たずに台風が連続したり。
お米を作る人も、新潟、東北、北海道を除けば、兼業農家さんが大半。
仕事の合間の米作り。田植えは自然とGWの頃に早まってしまった。
昔は土用の時期に田んぼを干していたけど、今の作付け(さくづけ)時期からしたら、土用に干したら遅い。
「土用干し」はほとんど使われなくなるのだろうか。