小学生に負けてる。ハンカチ携帯の習慣化
「農協さんは信金さんと違って、バイクじゃなくて車だから、エアコンが効いてるから良かったなぁ?」
白髪のスポーツ刈りで、濃い緑色のTシャツにステテコっぽいズボンを履いた金渕喜三郎さんは、玄関にあぐらをかいて座り、僕の集金の作業が終わるのを見ながら言った。
「それが、支店から近い所を回ってますんで、エアコンが効いてくる前に、すぐ止まっちゃうんですよ。だから、営業車に乗ると中はサウナ状態です(苦笑)」
「エンジンかけとくワケにはいかねぇのか?」
そうしたい。でも、さすがにそれは無理だ・・・ と、内心で思った。
盗難防止アラームも付いていないし、キーを挿してエンジンをかける車両だから、誰かに乗っていかれたら終わりだ。
キーを挿したままだと、降りても施錠もできない。
笑顔を絶やさず、
「やっぱり、防犯上それはやったらまずいですね」
汗が顔から垂れそうになり、ワイシャツの袖で拭いながら言った。
実は今朝、ハンカチを忘れてしまった。
ハンカチは、必ず、毎日必要だ。
暑かったり、激しく動いたり、良くも悪くも緊張したりで、汗をかく場面があったり、
雨や雪で濡れたカバンを、お客さんの家で床や畳に置かせてもらう場面があったり、
野菜を頂いたりして外の水道で手を洗わせてもらう場面があったり、
などなど、ハンカチの出番はかなり多い。
ハンドタオルや普通のフェイスタオルとかの方が良く拭ける。でも、ポケットやカバンの中に入れると嵩張ったり、場所をとったりする。
ハンカチがポケットで最も邪魔にならない。
お客さんから見ても、ハンカチを取り出して汗や雨を拭いている姿は、見ていて嫌悪感を抱く人はいない。
でも、いま僕がやった、服で拭く仕草はNGだ。
金渕さんは気にされない方だと思う。でも、そういう問題じゃない。僕自身の意識の低さの問題だ。
朝、自宅の玄関から車に乗るとき、いつも呪文を唱えるようにしている。
「ケータイ、財布、手帳、ハンカチ」
今朝はこの呪文を唱えなかった。
車のメーターにでもフセンに書いて貼っておこうか・・・・
よくある
「よし!次からは気をつけるぞ!」
って意識するだけの改善手法は悪手だ。
天才とか一部の特定の人だけ。
うっかりミスは、必ずある。これからも、将来ずっと。
自分が天才じゃない、と、良くわかっているから。
小学生なら、家族に「ハンカチ持った」とか確認してもらえる。
でも、社会人になったら、自分一人でうっかり忘れを極力防ぐように確実な手法をとらないといけない。
本当なら、うっかりミスは許されないから。
でも、うっかりミスをする人間だと自覚している。
物理的な改善手法を複数実施して行きたい。
早く暑さが和らいでこないかなぁ。。。
金渕さんが言った
「暑さ寒さも彼岸までって言うからな。まだまだ暑い日が続くかも知んねぇな」