死亡日に解約。したらいくらだったのか
もうすぐ70歳というところで、69歳で亡くなられた鍋坂博さんは、農家ではないけれども、農協のお取引は長く、多くの契約があった。
博さん自身の終身共済、
息子さんに掛けていた養老生命共済
それと医療共済、
お孫さんに学資として掛けていたこども共済、
建物に掛けた建物更生共済、
家財家具に掛けた建物更生共済my家財(まいかざい)、
ホンダのライフに掛けていた自動車共済と自賠責共済、
普通貯金口座と、総合口座と、定期貯金、定期積金、JAカード。
たくさんご利用いただいていた。
相続について、農協としてできる限りお手伝いしたい。
まずは相続税の申告が必要かどうかの判断。
60歳を過ぎても、数年は延長して働いていたそうで、退職金がほとんど残っていた。
農協の貯金だけで1,500万円くらいある。
郵便局でも1,000万円くらい、それと信用金庫と銀行の取引きもある。
合わせて、3,000万円は超える。
土地と建物も、100%ご主人の名義。
お子さんは2人で、養子縁組した親族はいないとのことだった。
終身共済のチラシにある、相続税の基礎控除額の簡易計算にあてはめる。
基礎控除3,000万円
+
法定相続人の人数【妻と子の計3人】×600万円
=4,800万円
預貯金がざっと見積もって3,000万円だから、残枠1,800万円。
家とその土地の相続税評価額が1,800万円を越えたり、書画骨董とか高価な遺産があって、それらを含めて1,800万円を超えるなら、税理士の先生に依頼をする必要が出てくる。
あ・・・死亡の3年前までの相続人への贈与も計算上は加算されるんだった。
今年の4月に奥さんと息子さんに100万円ずつを贈与して、その振り替えを僕が預かったんだった。
去年から始めたと言っていた。(100万円+100万円)×2年=400万円。
残枠の1,800万円から400万円を引く、残枠1,400万円。
お住まいは路線価地域じゃないないから、固定資産税の納付書にのっている固定資産税評価額を見ることで金額はわかる。
スマホで国税庁HPから財産評価基準書のページを開いて確認すると、建物は1.0倍、宅地は1.1倍だった。
建物は約500万円。土地は400万円で、1.1倍して440万円
家と土地で1,000万円くらい。
残枠1,400万円から1,000万円を引いて400万円の残枠。
すごいギリギリになってきた。
あとは・・・
共済だ。
博さんが掛けていた共済は、ご本人の終身共済は死亡によって消滅した。
死亡共済金の金額は500万円だった。
それと、郵便局の簡易保険の終身保険も300万円おりた。
合計800万円の死亡保険金は、相続税の計算での非課税枠が別にある。
500万円×法定相続人の人数(妻と子3人)=1,500万円
この1,500万円を超えなければ、死亡共済金・保険金は遺産に含めなくていい。
でも、息子さんに掛けていた養老生命と医療共済と、お孫さんへ学資保険として掛けていたこども共済、それと、建物と家財家具に掛けていた建物更生共済は、掛け捨てじゃない契約だ。
この全てを「仮に、博さんが死亡した日に解約した場合、いくらのお金になったのか」という、「解約返戻金試算」を窓口に出してもらい、その金額を遺産の金額に上乗せしなければならない。
タブレットで、世帯保障台帳から年度末のおおよその金額が千円単位まではわかる。
400万円の残枠、それを越えてしまうのか?
養老は131万円、医療は24万円、こども共済は92万円、建物の共済は320万円、家財の共済は48万円・・・・合計で515万円。
215万円も超えた。
ローンがあれば遺産をマイナスにできるけど、博さんはローンは無い。
通夜と告別式で支払った、葬儀代や、お坊さんに渡したお布施の金額でその分はマイナスできる。だいたい200万円~300万円だろうか。
死亡後に払った固定資産税と病院の支払いもマイナスできるけど、十数万円だ。
うーん、、、やっぱり税理士の先生に依頼をする前提でご相続の相談を進めた方がいい。
ここまでの計算をして、お話の方針を決める。でも、お客さんの前では計算や説明ができない。
無資格者は税理士法に違反するからだ。これは有償無償関係ない。
ご相談のためには必要な知識、だけど、実務で行えない。
それだけ税理士資格って特別なんだろうなと感じる。