あそこ倒れてる。肥料をくれ過ぎなんだ
稲の収穫が近くなった。
同時に台風も多くなった。
せっかく月日を掛けて手間を掛けて育てた稲が、たくさん実ってきたのに、台風の強風で全体が倒れてしまうことが多々ある。
「全部がおんなじ方向に倒れてくれたんなら、コンバインで刈っちまえるんだけどな」
米の専業農家の岩隈重信さんは、80歳近く、だけどまだまだ現役。
半世紀以上、米作りの経験はあるけれど、
「作った回数は、まだ60回くらいだ」と、たまに話す。
それでも、米出荷組合の会員さんの中ではベテランの岩隈さん。
沖縄付近で発生した台風の心配の話をしていたら、
「稲穂の頭がよ、水に完全に浸かるとかしなければ、台風の後でも収穫はできるんだよ」
と、教えてくれた。
「大丈夫なんですか?」
「完全に倒れちまって稲穂が水に浸かると、芽が出ちまうから出荷できないけどよ。そこまで倒れてなければ、なんとか収穫できんだよ」
「コンバインですか?」
「倒れる方向が四方八方に渦巻いてたらコンバインで刈るのは容易じゃないけんど、一方向にみんな倒れていたら、反対からコンバインで刈れるんだよ」
その状況をイメージして、一つ疑問に思った。
「それじゃ、四角くグルグル回りながら刈れないんじゃないですか?」
「そうなんだよ、良く分かったなぁ。行って、帰ってきて、を繰り返すようなんだけどな」
なるほど、時間は通常の倍はかかってしまいそうだ。
また、四方八方に渦巻いて倒れてしまった場合は、最終的に手で刈るしかない場合もあるそうだ。
今度の台風は、田んぼに大きな影響を与えなければいいなぁ。