蠢動《Shun-do》
劣等感に飲みこまれた日本列島
手負いの獣たちは優しさの奪い合い
オンリーワンの脆い感性を隠したまま
空に映らない未曾有の危機が迫る
信を保てない僕は赤潮の底
「未来があるよ」なんて慰謝は暴言だから
隣で泣いている君にただ好きと言いたい
産まれる必要性を忘れた朝でも
堪えきれない時間の渦が
滾って爛れて 詩となるなら
もう一度 神様を信じられるのだろうか
轢かれた命で語った本心が
火を招き 非を呼び 人を結んだから
悲劇の英雄を真似る遊戯はやめろよ
哀しみに虐げられて流れ星に死を願っていた
遠のく子守歌が耳の裏側で転生する
狩ろうとした命を抱えた危うい春風を
惹きつけてきた不確かな桜木
渓谷に眠る焔を呼び覚ます
君のこころだけ抱き寄せて歌うよ
黒く塗りつぶした間違いも
白く消し去れなかった言葉たちも連れて
好んだ死体の瞳を体中に取り込んで
終わった人生を見下ろしてみたいんだ
烙印を抱えたまま苦しみ生きるより
戒名を与えた方が清々しくなれるよな
書いて足掻いた愛の言葉が泥水よりも重たくて
いやでも卑猥な僕をこの世に存在せしめた
吐いて暴いた肺の穴が酸化してしまう前に
この重なる過呼吸を一途な愛で許して
早く僕に教えてくれよ
不規則に狂い立つ血液を美しく描写する方法を
掻いては流れ出る言葉の匂いに
群がる蟲たちが僕の小さな心臓を喰らうから
無謀だって分かっていても守りたいんだ
君と二人で望んだ世界の果てを
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