ガラスの地球を救え
手塚治虫の『ガラスの地球を救え』を読了した。手元に置いておきたい一冊だ。
手塚治虫の漫画はアトムとかブラックジャックをアニメで観ただけで、ちゃんと漫画で読んだのはアドルフに告ぐだけ。
それでも
数々の作品について、手塚治虫は
こんなことを思いながら描いてたのか、
と感嘆した。
簡単な言葉で、身近な例で綴っていく言葉からは手塚治虫の謙虚な姿勢が表れているような気がした。
そしてここで綴られている手塚治虫の未来への危惧、その通りの今になっていることに気づく。
想像力の大切さを綴っている部分があり、
未来を想像する力は、手塚治虫自身の特別な力ではないと言っていた。
今日の夕食はなににしよう、
明日は何をしよう、
その延長で
10日後の想像も、10年後の想像もやり方は変わらないと綴っている。
政治家に読んでもらいたいと思うと同時に、
そうやって自分を棚においている時点で、政治家が悪い、という諦念が自分の中にあるのではないかと省みる。
ここでいう諦念は、悟りとかではなく、単純に諦めの心のことである。
最後の未来予測は恐ろしいほど的確であり、
手塚治虫は現実社会を直視し、人間を、生命を直視して描き続けていたんだと思った。
単純に面白い漫画ではなく、現実から離れず、問題提起を忘れない、そんな漫画を描いていたんだと思った。
そんな手塚治虫の思想の根底に触れているように感じた一文を紹介して終わります。
「ぼくたちは日ごろ、自分の力で生きていると思いこんでいますが、この大宇宙に満たされた目に見えないエネルギーが、ぼくたちを生かしてくれているという気がしてなりません。この途方もない永劫を生きる宇宙生命の一粒が人類なのです。
ちっぽけかもしれないが、極小から極大で宇宙全体がつながっている、呼応していると思うと、どこかホッとするような安心感が湧いてきませんか。」
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