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たけくらべ

現代語訳のたけくらべ、にごりえを読んだ。
吉原で少女から大人の女性になる姿を描いたたけくらべは、
少年少女の好意を抱く気持ちや嫉妬、周りを意識した言動になっていく成長の過程を、柔らかく描いているという印象を受けた。

にごりえは、遊女が客と心中に至るまで。
最後の最後、どういう心境で心中に至ったかは読者の想像に任せている。

どちらも最後は読者にゆだねているような格好だ。

自分の存在意義のようなものに深く頭を悩ませ、心が苛まれることは、人間誰しもあるが、
女性の、特に遊女のような職業の女性のそれを、樋口一葉は良し悪しでなくありのまま描いているように感じた。

最後に読者に委ねることで、どんな人間のどんな解釈であっても、美登利にも、お力にも関わりがない、という現実生活のリアルがはからずも?描かれているような気がした。

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