20、【10年以上続く事業】となるための事業計画作成法⑫~顧客に提供する商品・サービス(ソリューション)を構想する方法①
「私の住んでいる地域を元気にしたい!」そんなあなたの想いをサポートしたい!Мの行政書士・上杉哲哉です。(福島県会津若松市と栃木県日光市に在住しています)
これまで、事業で取り扱う社会課題、ターゲットの設定(顧客セグメント)、そして事業のゴールの設定の仕方(価値提案)について考えてきました。
今回は、これらの3つの情報から、事業のカタチとなるサービス・商品(ソリューション)の構想の仕方について、2回にわけて考えていきます。
顧客がもつ社会課題を見つけたとしても、それをどう解決するのか?事業のゴールに顧客をどう導くのか?つまり解決方法が具体的にならなければ、事業を始めることができません。
しかし、今まで発見してきた、社会課題、課題を持つ顧客、価値提案(事業のゴール)という3つの情報をしっかりとまとめて分析すれば、解決方法を構想しやすくなります。
今回は、ソリューション構想のための情報をまとめ、ソリューションの具体的なカタチを想定しやすくする方法「エレベーターピッチ」について考えていきます。
(1)エレベーターピッチを作る
エレベーターピッチとは、「最終的に自分たちがどんな顧客の、どんな課題を、どんな手段で解決できるのか?」そして「他社の同種の商品・サービスとどう違うのか?」を、30秒で説明できるように言語化してまとめておくことです。
★エレベーターピッチのフォーマット
※以下の【】内の内容を自分たちが実施する事業にそって埋めていきます。
↓
我々は【ターゲット】の抱えている【ニーズ=課題】を満たしたり、解決したい。
【商品・サービス名(ソリューション名)】という商品・サービスは、
【重要な利点、対価に見合う説得力のある理由】をターゲットに提供することができる。
この商品・サービスは【代替手段の中でも最も有力と思われる商品・サービス】とは違い、【差別化の徹底的な特徴】が備わっている。
アナロジー:”【我々は、×××業界の〇〇〇である】”
現段階では【ソリューション・サービス名】【重要な利点、対価に見合う説得力のある理由】【代替手段】【差別化の徹底的な特徴】【アナロジー】の内容は決定していないので空欄にしておきます。
現在までで決定している内容を埋めてみて、この文章を考えようとすると、ソリューションの具体的な形がだんだんと見えてきやすくなります。そして、競合他社と差別化できるところが見えやすくなってきます。
★魔法のランプ分析
エレベーターピッチのフォーマットを使うとソリューションの具体的な形は想定しやすくなるといわれています。しかし、初めて起業する、初めての分野で起業するなど、自分が事業を始めようとする分野での経験がないと、皆目見当がつかないこともあると思います。
そこである程度の指針を決めることができる方法があります。それが「魔法のランプ分析」です。
まだ具体的なカタチとなっていないソリューションを「魔法のランプ」として置き換えます。そして、以下の質問を考えていくと、だんだんとソリューションのカタチが想定しやすくなっていきます。
①魔法のランプがあってなんでもできるとしたら、【事業で取り扱う顧客がもっている課題】を解決するために何をしたいと思いますか?
②その魔法のランプに必ず含まれるべき機能は何だと思いますか?
③その魔法のランプに一番近いソリューションや代替案はありますか?
④その代替案の良い点と不足している点は何ですか?
⑤あなたがその魔法のランプを使うとどれくらいの時間や労力などのリソースを節約できると思いますか?
⑥そういった魔法のランプに対して、どれくらいの予算を確保できますか?
⑦ここまでできれば感動するという魔法のランプの具体的なカタチのイメージはありますか?
※以上の質問の回答を考える中で、具体的なソリューションのカタチ、他者との差別化できるポイントが具体的になっていきます。
(2)エレベーターピッチを作る理由
エレベーターピッチを作る理由は一言でいえば、ソリューションの具体的な形を考えやすくするためです。
しかし、それ以外にも、事業を具体化するために不可欠な以下の三つの理由があります。
①自分たちのやろうとしていることを明確にするため
事業のスタートアップとは、何も市場がないところで新たな市場を創造するというゼロからイチを生み出すことです。
ゼロからイチを生み出すためには、全精力傾ける必要があるくらいに、やることがたくさんでてきます。その中で、どうしても注力するポイントがぼやけてしまうことが起こります。
そこで、注力するポイントを絞るために、エレベーターピッチを使うことができます。
「誰のために、なぜやるのか?」ということを再確認し、事業に携わるチーム全体の意識を統一しやすくなるのです。
すでに起業経験のある方はご存じと思いますが、特に「誰のために」という問いはついつい忘れがちになることが多いといわれています。
よって作成したエレベーターピッチを何度も確認して、「誰のために、なぜやるのか?」を、いつでも思い出せるようにしておくことが事業のスタートアップでは大切なことのです。
②チームの意識をターゲットに向けるため
エレベーターピッチの作成において、「どんな商品・サービス(ソリューション)を提供するか?」、「それを提供する理由は何か?」「ターゲットがその対価を支払う理由は何か?」といった本質的な質問自分たちに繰り返し投げかけることが大切です。
そして繰り返し上記の質問を投げかけ続けることで、「誰のための事業か?」という視点を深堀できるようになります。
結果として、商品・サービス(ソリューション)を常に顧客目線で考えることができるようになるのです。
③事業の核心を捉えるため
エレベーターピッチを作成することで、核心をまっすぐにつくことができるようになります。
驚くべきことですが、同じ事業に参加するメンバーに「あなたはどんな事業を始めますか?」と尋ねると、回答がバラバラになるケースが多いのです。ソリューションに至るまでの情報が多く、核心が見えにくくなるからです。
よって、それらの情報を一つずつ論理的につなげて、一つのストーリーとなるようにエレベータピッチをつくり、事業の核心をつねに見えやすくしておく必要があるです。
【事例:プレスリリース作成から始めるアマゾン】
アマゾンでは、新しい事業を立ち上げる際には、事業で扱うソリューションが完成したことを想定し、プレスリリースを最初に作成することから始めるそうです。
プレスリリースは、新製品・新サービスが特定の顧客の、特定の問題をいかに効果的に解決するかを説得力のある言葉で説明する必要があります。
プレスリリースを作る段階で、事業の核心を常に忘れないようにすることができるので、スタートアップした事業の多くが成功していくのです。
このプレスリリースこそが、エレベーターピッチです。
ーまとめー
エレベーターピッチとは、これまで設定してきた事業課題、顧客、価値提案を一つの物語として論理的につなげ、30秒で自分の事業を説明するために言語化しようとすることで、商品・サービス(ソリューション)を考えやすくする分析法です。
エレベーターピッチを作成することで、ソリューションを具体化するだけでなく、チーム全体が「誰に向けた事業なのか?」を意識しながら、つねに「事業の核心」を意識しながら事業を展開することができるようになるのです。
より具体的に、そしてわかりやすく言語化できればできるほど、事業の成功率は飛躍的にアップしていきます!
次回は、エレベータピッチで考えた商品・サービスをさらに具体化する分析法「UXブループリント」について考えます!
最後までお読みくださりありがとうございました。
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