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ほんとに頭がいいのはともこ

帰省中のこと。
その日は近所のカフェでお弁当をテイクアウトし、父・祖母・私の3人で昼食をとっていた。
昨日会った時に比べると、表情も明るく声も大きい祖母。
耳が遠く会話が聞き取りにくい祖母は、
普段は「みんなの話がわからない。楽しいことなんか全然ない」
とグチグチしているが、
その日は珍しくネガティブ発言が少なかった。
なにかいいことでもあったんかな?、と

「ばあちゃん、最近なんか楽しい、おもしろいこと、あったね??」

「ない」

即答された。
あっそう。(笑)

そのままたわいもないおしゃべりをして、みんな完食。
ごちそうさま〜。
ひと通りのんびりしてから、お弁当の片付けをしはじめた私。
おばあちゃんは、食後のトイレ、お父さんはゆったりと席に座ったまま、私の話に耳を傾けてくれていた。

「それ、かしこいねえ」

私がお弁当箱に残った油や水分を、ティッシュですわせているのを見て父がそう言った。こうしておくと、お弁当箱の汚れを流すのがすごく楽になる。

「うん、前にともこおばちゃんに言われてから、こうするようになったんだー。『頭を使いなさい』って」
「ふーん」

おばあちゃんがトイレから戻ってきた。
片付けをしている私の隣に座ると、私の様子に気づいた。

「それ、ばあちゃんもそうやって片付けるがよ」
「あ。そうやっちゃ。私はねー、ともこおばちゃんに教えてもらったとよ。元々ばあちゃんもやってたっちゃね〜。頭いいねえ」

祖母から叔母、そして姪の私へと、3代にわたり受け継がれた生活の知恵だったみたいだ。
ちょっとうれしくなる。

「ばあちゃんもね、前ともこに言われたとよ。『お母さん、こうやってね、頭を使わんね!」って」

…なんだって。

思わず父と顔を見合わせ、その瞬間ふたりで爆笑。

「ばあちゃん!今さっき私も、全っっっっっくおんなじこと言ってたっちゃが!!(笑)なんだ、ふたりとも、ともこおばちゃんに同じこと言われたっちゃねえ!!(笑)」

それを聞いたおばあちゃん。
理解したのか、目をちょっとまあるく開けてから、
ふっ、と満面の笑みになった。
そして、今日1番大きな声でひとこと。

「ほんとに頭がいいのはともこやったねえ!!」

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