大企業の陰謀に恐竜とアレを添えて/映画『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』感想
『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』を爆音上映で見ました。爆音上映は、座席や体が震えるような音圧、その場にいるような没入感が好きです。恐竜の雄たけびや地響きを期待していました。まさか、虫の羽音を爆音で聞くことになるとは……。
『ジュラシック・ワールド』三部作の完結編。現代によみがえった恐竜が施設から解き放たれ、世界は混乱しています。その中で、恐竜やDNAを利用して世界を取ろうと企む大企業、バイオシン社の陰謀と戦う話です。
登場する人物も、恐竜も、虫も、多いです。そのため、おもしろいのですが、三部作の中でもっとも広く浅い印象に感じました。
オーウェン(演:クリス・プラット)の変わらない実直さとフィジカル、良かったです。マルタ島のアクションは見応えがありました。前作の最後に別れたブルー、なんやかんやオーウェンの近所に住んでいて、愛らしいです。
想像以上だったのは、数学者のイアン・マルコム博士(演:ジェフ・ゴールドブラム)。白髪、サングラス、黒シャツ、とにかくセクシー。肉食恐竜のおとりになる勇敢さ。捨てぜりふの「くたばれ」。最高でした。
バイオシン社CEOのルイス・ドジスン(演:キャンベル・スコット)と広報のラムジー(演:マムドゥ・アチー)。この二人はどういう関係なんだろう。ドジスンが施設の案内をラムジーに任せるところから、どこかラムジーへのコンプレックスが透けていて、不思議な関係性です。
自分が特に好きなシーンは、施設から逃げようとオフィスで荷造りするドジスン。持つように押し付けられたファイルを、棒立ちのまま受け取らないラムジー。床に落ちるファイル。裏切られたことを察するドジスン。このときの、ドジスンを見つめるラムジーの目が、哀れみのような、後ろめたさような、情念のこもった視線で興味深かったです。