「昼の部と夜の部、ライブチケット両方取って2500円ってどういうことだ」
先日、速いビームというお笑いライブに行ってきた。ド平日の新宿の、新宿バッシュ‼︎という劇場で行われていたライブである。
若手芸人が集まり、それぞれ昼では企画を、夜にはネタを行う月1定期ライブなのだが、せっかくなので両方のチケット、しかも特典DVD付きのものを取る事にした。
ここ最近になってお笑いを好きになったにわかにも程が有るにわかお笑いファンなのでなんせ勝手がわからない。とりあえず取ろう、割と軽い気持ちで昼夜取ってみたのだが、あまりの価格の安さに驚いてしまった。
昼と夜、特典つきチケット、合計2500円。
あまりにも安い。どういうこっちゃ。え、嘘でしょ?なんで?成り立つの?みんなどれくらいのギャラ貰えてるの???芸を、才能を売って食べていっているのに、そんな安売りしてていいの…?
お金の仕組みはよくわからないので払えと言われた分を払うしかないのだが、それにしたって安くないか。ちょい贅沢なランチくらいの値段じゃん。びっくりして会場を借りる費用をうっかり調べてしまった。
ただのファンなので色々口を突っ込むべきではないだろうし、私がどうにかできる問題でもなければ、この価格帯だからこそ行ける客層でもあるのだろう。ド平日にライブに行ける人と行ったら大学生だったり高校生だったりするのだから。
(じゃあ谷底はなんで行けたの?って感じなんですけど、諸事情で6月はまるっと有給休暇だったんです、人生の夏休みを前借りして収入のあるニート生活を満喫してました。7月からまた馬車馬のように働きます)
ただ、なぜこんな記事を書きたくなってしまったかというと、今の若手芸人と自分が同世代だからである。
テレビやラジオ、雑誌などでもお笑い第7世代という言葉が広がりつつある。昭和の終わり〜平成初期生まれの人たちがお笑い芸人として今、勢い付いて来ている。
ベテラン・中堅層を含め、多くの挑戦者がいた賞レースを勝ち抜いて優勝をした若手のトリオやコンビ。テレビの向こうで優勝を手に笑っている彼らは同世代で、ポケモンなら赤青緑をプレイしてきたり、任天堂64のスーパーマリオに夢中になったり、ピクミンの歌を口ずさんだり、ピコが家にあったり、やたらとゆとり世代と呼ばれたりしていたんだろう。
どこかで必ず懐かしいと思う、夢中だったものが重なる、そんな世代がお笑い芸人をやっている。
彼らと同世代の私はしがない会社員で、酒もタバコもギャンブルもやらず、女ではあるもののファッションやコスメにもさほど興味を持たないぼんやりとした人間なのだが、仕事はそれなりに好きなので日々働き、毎月そこそこ安定した収入を得ている。都内に住み、毎月7万の家賃とその他生活費に加え、DVDを集めるのが好きなので毎月何本か買ったりしながら貯金もしている生活を送っている。年に2回くらいは旅行だっていくし、舞台も見に行くし、今年は東京03のライブを4公演みる予定もある。バナナマンのライブだって当たれば行きたい。当たれば。…頼む当たってくれ俳優座に行かせてくれ。グッズだってガバガバ買う。頭は一個しか付いてないににバナナマンのキャップが家に9個くらいある。芸人のライブグッズでキャップ9種って何?
……給料日を焦がれたことはここ5年間で正直一度もない。節制もしているつもりはないし、好きなものを食べて生きているが、金に困った覚えが何一つない。
テレビに出ている芸人の苦労話を他人事のように聞き(実際他人事だけども)自分には縁のない話だなあと思いながら過ごしていた。テレビでひな壇や司会者の位置にいる、いわば成功した芸人の苦労話だ、呑気に笑って聞いていられる。けれど、今の、自分と同じくらいの年齢の芸人たちが、現在もしかしたらそんな生活送っているということなんだろうか、とふと考えると急に胸が痛くなってしまった。
何をしてあげられるわけでもないし、寄付だのなんだのを募るのも絶対違うし、こちらが勝手にしんどい気持ちになっているだけなのだけれど。
それでタイトルの2500円、これについてなのだ。安い。あまりにも。どうして……。
貧乏エピソードは面白いと思う。風呂がないから知り合いの芸人の家に借りに行くとか、携帯代が払えなくなって彼女がほぼマネージャーの役割をしてスケジュールの伝達をしているとか、あまりにもやばすぎるボロ屋に住んでいるとか、金のないときは食えんようなものを食っていたとか、昔から芸人に貧乏苦労話は付き物だ。
だからと言ってこんなにチケット代が安いことを安易に喜んでいいのだろうか?考え抜いて作ってきたネタを安売りしていいのだろうか。好きなことをして生きていくんだから多少の苦労は当たり前でしょ!ということもあるのかもしれないが、正当な賃金を受け取る権利は誰にでもある。楽しければみんなハッピーに暮らせる!というわけじゃないだろう、人間は生きているだけで金が掛かるのだから。
だったらこうすればいいじゃん!と良いアイディアが出せるわけでもないので(ないんかい)特にオチも結論もないのだが、せめてnoteのようなサポート制度があればいいのに、と思ってしまっている。遠方の方出会ったり、仕事でどうしても劇場に足を運べないけれど彼らを応援したい、本当はすごく見たい、そんな人たちが気軽に投げ銭をできるようなシステムがあればいいのに。つまり私は単純に、彼らの才能にもっと金を払わせて欲しいのだ。
テレビやラジオ以外にもコンテンツが増え忙しくなってしまった平成から令和という今の時代までずっと受け継がれてきた小劇場でのお笑いライブ、せっかくなら現代のシステムをもっと利用して行ったっていいじゃないか。今回は行けないけどこれで美味しいお酒でも飲んでね!ライブ頑張って!と気軽にワンクリックで応援できたっていいじゃないか、思うのだ。
そういう世界の話じゃないんで引っ込んでて!と思われていると思うけれど、こんなnoteろくに閲覧数も伸びないだろうから好きに書いてしまう。
とりあえず若手の芸人さんたち、Amazon欲しいものリストの公開待ってます。