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映画『バッド・ランズ』
そうと知らずにNetflixで観始めて、途中で何となく気になって原作者を検索した。
この映画の原作となった『勁草』を私はまだ読んでいなかったから、そのまま続きを観るか迷ったが、結局最後まで止めることが出来なかった。
大阪弁を聴くだけで嫌だという人は知り合いにも複数いる。けれど私自身はそんなことはない。何なら、関東育ちのくせに大阪出身かと大阪出身者に聞かれたことがあるくらい、変な喋りをしているらしい。なのでこの映画の世界に違和感は全く無かった。
映画は特殊詐欺グループの実行シーンから始まる。冒頭から異世界に放り込まれるから、それだけで非日常感は満載で、映画に没入する仕掛けとしては十分だ。登場する人々の背景も様々で密度が濃い。これが同じ日本の話かと思うくらいだ。
別に、大阪が悪い場所ということではない。
バッドと言う言葉は日本語のヤバいと同じ様に良い意味でも使われるから、バッド・ランズというのはむしろ悪い場所という意味ではないのだろう。こんなにもカラフルな表情を伴った舞台設定は東京では不可能だ。
娯楽作品としては面白い。
けれど、やはり小説を映画化する際に陥りがちな落とし穴にハマってしまっているのは少し残念だ。要素を詰め込み過ぎて溢れかえってしまっている。映画ではなくてドラマの方が描ききれる作品なのかもしれない。
原作者、黒川博行氏の小説はこれまで沢山読んで来た。
小説の中の世界を映像化するのは難しいはずだから、映画化に当たっては、エッセンスを残しながらも別の作品として昇華させる必要があっただろう。
それは小説を読んで答え合わせをすることにしたいと思っている。
ひとつやられたと思ったのは、エンドロールに原作者の名前を見つけた時だった。やっぱりそうだよね、と言ったとしても負け惜しみにしか聞こえないだろう。
おわり