⑥ 正しい教材研究と他教科との関連
この他の論理的順序についても教科書教材から読みとることができます。
1年『うみのかくれんぼ』は、海の生き物の隠れ方が「見えること(外見)から見えないこと(機能)」の「順序」で説明されています。
しかし、よく見るともうひとつの論理的順序が見えてきます。それは、海の生き物たちの登場する「順序」です。はまぐり→たこ→もくずしょい、という「順序」は論理的順序の中の対応的関係「エ 一般と特殊」(多くの生き物が行う隠れ方→あまり見られない独特な隠れ方)であると言えるでし
ょう。
このように「順序」という教材性(一般性・汎用性のある他教科等への応用が可能なレベルの「順序」)を発見することを教材研究と言います。「教科書に出てこなかった海の生き物たちはどのような隠れ方をするのかな」という課題で調べ学習を行い、『海の生き物図鑑』を作る計画を立てることは教材研究ではありません。それは国語科の授業ではないのです。
この他にも、説明文の教材には多くの指導すべき「順序」が存在しているのです。我々は教科書の手引きや教科書会社発行の教師用指導書を参考としながらも、自らも教材研究をしていかなければならないのです。
マガジン「小学校国語科の授業 理論編」において、説明文の授業の目的は「自然と身についてくる日本語を活用する能力」を学びなおして、それを意図的・計画的・効果的に活用できるようにすることが最大のものとなると述べました。
もちろん低学年の説明文の授業の目的も同じです。「順序」については、全ての児童が今までの生活経験等を踏まえて無意識的に事柄を配列する際に用いていることになります。これを意識化させて、よりよく使っていけるようにすることが国語科における低学年の説明文の授業の目的となります。
さらにマガジン「小学校の国語科の授業 説明文編」では、説明文で理解したものを実際に「話すこと」や「書くこと」に活用させて、自分の言いたいことをより説得力があるように表現していくここに説明文を学習する意義があると述べました。つまり、説明文で学んだ「順序」をお手本として自分の表現に活用していく流れになっている単元にしていくことが大切になってくるのです。
重要なことは、この「話すこと」「書くこと」は国語科という教科で閉じられているものではないということです。
マガジン「主体的・対話的で深い学び」において「現行の学習指導要領においては、各教科の目標達成は言語活動を通してなされると明記されています」と述べました。学習した「順序」を各教科の言語活動に活用させ、各教科の目的達成のために機能させていくことが大切なのです。ここに教科教育としての国語科の意味があると言ってもよいでしょう。
実際に「どの教材で」「どの順序」を指導するのかということをまとめてみましたので、以下の記事を参照ください。