指導案の書き方マニュアル⑦ 書き方の解説
「7 本時の指導」の書き方の解説
(3)展開
本時の展開のさせ方については、地域や学校によって様々なものがありますが、「導入・展開・終末」というように三つの段階を持つものが一般的なものとなります。
「導入」においては、本時で行う学習活動について興味・関心を持たせることになります。
例えば、本時では言語能力の育成に目標があるとします。言語能力とは、児童が必要感を持ち、主体的に活動することによって身につくものでありますから、「導入」において学習活動に興味・関心を持たせるということは、とても重要な役割をもつものとなります。
「展開」とは、本時の目標を達成するために直接的に関係する学習活動の部分になります。
「単元について」をもとに「単元の指導計画」を作成したわけでありますが、この指導計画に示された学習活動を、より具体的に、発問等も示しながら書くことになります。
ほとんどの時間においては「展開」の段階で「本時の評価」をすることになります。
ここに示す「本時の評価」においては、「A評価となるべき児童の具体的な姿例」を示すことが大切になります(量的に積み重ねるような評価の場合は、必ずしも「A評価の具体例」があるわけではない)。
様々なマガジン内で、学習指導要領に示された内容は最低基準であり、全員に達成させるべきものである(全員がB評価)と述べてきました。しかし、全員をB評価にすることのみが教師の役割ではありません。B達成ができたならば、より質の高い能力を身につけさせていくことも大切な役割となります。これも、大切な「個に応じた指導」なのです。
留意しなければならないのは、A評価とは、新しい能力を先取りしたものではなく、あくまでも身につけさせるべき能力について質を高めたものであるということです。
また、A基準というものがあり、その基準に達したものがA評価ということでもありません。
つまり、「A評価の中にB評価がある」という性質のものではなく、「B評価の中にA評価がある」のです。あくまでB評価の中の質の問題なのです。
「終末」は、本時の目標に対して振り返り、次時の目標を予告する段階になります(単元の最終時では単元のまとめとなります)。
まず、児童には、本時の目標に対して達成できたのかどうかを明確に意識させる必要があります。
実際の指導においては、児童に毎時間ごとに「終末」の段階を利用して「評価カード」を書かせることが多くなります。これは、毎時間の目標達成の確認とともに、児童に自己評価能力を身につけさせたいとの願いからであります。
しかしながら、実情は「がんばって発表しましたか」とか「先生の言っていることがよくわかりましたか」のようなレベルのものが多く見られます。これでは、自己評価能力は決して身につきません。
自己評価能力とは、この時間の目標に対して自分が達成できたかどうかということを自分自身で評価できるという能力のことです。
前述のように漠然とした評価項目では、児童にとっては、どう答えてよいかわからないことになります。この時間の目標を児童の言葉で示し、さらに評価規準も児童の言葉で示してやる必要があります。そうすることによって、児童は「何をすればよいのか」「何がわかればよいのか」が明確に理解することができて、それに対して自己評価ができることになります。
本時の目標について確認させたら、次は次時の目標について意識化させ、興味・関心をもたせる必要があります。
単元中の連続した時間においては、目標も連続していることになります。つまり、「終末」は次時の「導入」でもあたることになります。
また、単元の最後の時間においての「終末」は、日常生活への「導入」応用という役割があります。
国語科の目標は、言語能力の育成にあります。
単元において身につけてきた言語能力は、日常生活において応用できて初めて生きて働くものとして自分のものになるのです。この場合の「終末」非常に大きな意義を持つと言えるでしょう。