刺青/谷崎潤一郎
読了。ネタバレあり。
彫物師の男が理想の女の肌に刺青を彫る話。清吉という男は、理想の女の肌に刺青を彫ることをずっと夢見ていた。そんな折に、きっと理想の女だと思われる女の足を見つける。追いかけてみたが、女は清吉の前から姿を消してしまった。
それから一年、清吉はその女と再会する。その女の美しさを表す語彙の素晴らしさに鳥肌が立った。語彙力で殴られた感じだ。日本語モンスターすぎる。これでもかと言うほど美しく描写された女に、清吉は彫り物をすると決める。
清吉の手には麻酔瓶。薬を盛るだなんて犯罪やんけ!と思ったが、この時世ではそれが許されるというか、物語的にこういう展開が許されたのかもしれない。
清吉は女に彫り物をした。大きな女郎蜘蛛。女はいっとう美しくなった。その美しさの描写も日本語の暴力だった。
清吉にはサディスティックな一面がある。サディスティックな男、理想の女。それを描く確かで美しい日本語――たまらなくわたしの気持ちは昂った。わたしは美しい日本語が大好きなのである。
過去に読んだときに「内容キモいな〜」と思った記憶があったが、改めて読むとさほどキモくなくて、過去になにがキモく思えたのか謎。清吉がサディスティックなところだろうか。わからない。
おもしろい物語だった。さほど長くもなく、さらりと読めて美しい日本語にボコボコにされることができる。
美しい日本語にボコボコにされたいときに、また読もうと思えた物語だった。
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