ロマネスク/太宰治

 読了。ネタバレあり。

 三本仕立ての物語。最初は「仙術太郎」という話から始まる。この話では、人間の欲深さがテーマなのではないか。神童、あるいは阿保だと思われていた太郎が仙術によって、さまざまな姿に形を変える。太郎は美男になりたいと願う。しかし、太郎は美男とはかけ離れた姿になってしまい、元の姿に戻ることも出来なかった。女に好かれたいと欲を出した結果である。

 次は「喧嘩次郎兵衛」。喧嘩に強くなりたい次郎兵衛が喧嘩に強くなるために身体を鍛える。けれど、喧嘩の機会は一向にやって来なかった。最後に次郎兵衛は妻を殺してしまう。喧嘩のために鍛えたはずの力を、妻にふるってしまった。この話もまた、欲深い人間の罪を描いているように思えた。

 最後は「嘘の三郎」。嘘つきの三郎が、正直に生きようとしても、それすらが嘘であると苦悩する話。三郎の父親が嘘つきで、信じきれない宗教を他者に教えることを悔いて、遺書を残し死んでしまった。三郎はそれから嘘をつかずに生きようと決めたが、なにをやっても嘘にしか思えない。これもまた、人間の欲深さを描いたものだと思った。嘘をついて自分を取り繕うこともまた罪なのである。

 太郎と次郎兵衛と三郎が最後に江戸の酒場で出会う。そして互いに半生を語り合い、三郎はこの三人の人生を模範として本に残すことに決める。自分たちは芸術家だと思いながら。

 この三人の人生を模範として本に残そうと思った三郎の本当の思いはなんなのだろう。自分たちの人生を反面教師にしろということなのだろうか。わたしはアホなのでわからないが、それでもあえて言うなら、三郎は自分たちの人生を世に残すことで自分たちのような人生を送る人間が少なくなることを願ったのかもしれないな、と思った。いや、わからないが。

 どうしてわたしは読解力が壊滅的にないのだろう。まともな感想文を書くことが出来なくて申し訳ないの気持ち。

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