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「ハラスメント抑止の規格」と言える。

敬語とは、相手と自分との間に一定の距離を保つ、いわば「壁」のような存在と言える。

そして、おおざっぱにハラスメントを抑止している。「とりあえず相手が言われて嫌なことなんか分からんから、とりあえず目上の人扱いしてしまお」というのが敬語だろう。

さらに、全員が「敬語」という知識を持つことで、「規格」となり、「アイツの発言」がハラスメント抑止の規格に準拠しているかどうかが一目瞭然なのだ。

社会が近代化し、成熟した昨今になってハラスメントという言葉が蔓延してきたイメージだが、チョー昔の人もハラスメントに対する課題意識は持っていたと言える。

例えば、「来い」と言ったとしよう。相手が「あぁ?」となるリスクヘッジをとって、「いらっしゃいませ」と言っておくのだ。そうすれば、「うむ、あいつはハラスメント抑止規格に準拠しているな、なのでハラスメントではありません」となり、安心して生活できる。

「じゃあじゃあ、世の中敬語だけでいいじゃん。」

それではだめなのだ。敬語だけだと、「いらっしゃいませ」と言っても「あぁ?」となるリスクがある。なぜなら、敬語は、「わざわざタメ語を使わずに敬語を使うことでハラスメントを抑止する」という特徴があるからだ。「タメ口」が存在していないと機能しない。


この「敬語」もいきなりふっと現れたわけではないだろう。日本人が生まれて、一番最初に、「来い」に対して「あぁ?」ってなった時に、「よし、いらっしゃいませと言うことにしよう、皆わかった?」となり、そこで初めて敬語が生まれた。敬語 version1.0だ。

そこから少したって、今度は誰かが「言え」と言ったことに対し「あぁ!?!?」ってムカつき始めた。それを聞いた皆は、確かにムカつくなぁという風潮になり、「よし、おっしゃると言おう」となって、敬語version1.1がローンチされた。

現在、「後ろからコーヒー出す店員ムカつかね?」とかいうやつが現れだして、「後ろから失礼します」という敬語version162.13がローンチされるまでになった。

さて、そして今敬語の一大転機が訪れている。「ハラスメント」という言葉が台頭してきて、皆「誰かが傷つくこと」にびくびくして生きるようになった。なぜなら、まだ敬語として整備されていない「ムカつくこと」が一気にあふれ出したからだ。

「「髪伸びたね」って言われるのセクハラかどうか」も規格が整備されていないため訴えれば勝ちの無法状態だ。

「怒ったらパワハラだからロジックで伝えよう!」も、ネチネチ言えばモラハラ扱いされる。規格が整備されていないからだ。

こんな調子で、規格化されていないムカつくことが一気にあふれているので、敬語version162.13の次は間違いないくメジャーアップデートとなり、version163.0になるだろう。


敬語version163.0がローンチされてもまだまだアップデートは終わらない。人間とは一生、新たな「ムカつくこと」が発生し続け、それを抑止する「規格」を作り続けるイタチごっこを繰り返すのだろう。


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のろさとし | 実業家 | 製造業 | システムエンジニア
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