カスタマーハラスメントに真摯に対峙するための簡単な心構え(YouTube も公開しています)
カスタマーハラスメント(カスハラ)が深刻な問題になっているが、4割の事業者は何の対策もしていないという。
苦楽をともにする従業員への不当な仕打ちに見て見ぬふりなど論外だ。
暴力、暴言、侮辱、不当な居座り等は犯罪になりうる。厚生労働省のカスハラマニュアルでも明記されている。警察とも相談して対処すべきだ。
カスハラ行為者には、相手の困惑を弄ぶ愉快犯、自分が正しい行為をしていると信じる確信犯、あるいは、精神的な問題等で行動を自制できない人もいる。
一般の市民で手に負えない場合も少なくない。
私が前職の銀行で本部にいた時に、現場営業店の管理者から相談を受けた。
顧客のストーカーまがいの行為で女性社員が疲弊しているという。
警察との相談を勧めたが、現場管理者は躊躇した。私は「事故が起こったらご自身が安全配慮義務違反を問われますよ」と言って対応を促した。
警察に相談すると「本人を呼び複数の管理者で対応しなさい。『あなたの行為は迷惑です。やめてください。』ときっぱり言いなさい。警察官を近くで待機させます。」と言われた。この対応でストーカー行為はすぐやんだ。
顧客が店頭で奇矯な行為をしている、と相談を受けたこともある。精神的な問題を抱えている顧客だった。「すぐ110番しなさい。警察官はそのような人を保護する義務があります」と言った。駆けつけた警察官が巧みに本人を連れ出してくれた。
我国の警察は困った人への対応に手慣れた心強いプロフェッショナルだ。地元の警察署の生活安全課などに出向いて、いざという時に助けてもらうようお願いしておくことだ。
そもそも「お客様だから」と対応をためらうのが間違いだ。
「顧客」とは事業者が保護し利便を図るべき相手だ。
カスハラ行為者は顧客の定義からも外れるのではないか。
むしろ、事業者として従業員こそが一番大切な顧客だ。苦楽をともにし事業の発展に尽くしてくれる大切な仲間だ。
カスハラ対策の手引き作成や研修も大切だが、カスハラに遭遇したら実際にどうするか、事業者として腹をくくっておくべきだ。
警察のアドバイスを仰ぎ、事業者団体などで相談し、共通のポスターなどで不当行為の抑止を考えてはどうか。
「従業員への暴力、暴言、侮辱、長時間の居座り等は犯罪です。警察に通報します。SNSなどへの不当な書き込みには法的な措置を取ります。」
カスハラは、わが国固有の問題と聞く。
従業員の尊厳を軽んずるのは過重労働やパワハラにも共通する問題だ。
心してかかるべきだ。
(参考1)UAゼンセン調査(2024年6月5日公表)
(参考2)厚生労働省
カスタマーハラスメント対策企業マニュアル
(参考3)銅鑼猫のカスハラ記事
銅鑼猫(社会保険労務士 健康経営エキスパートアドバイザー 玉上信明)
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