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読みやすいアルファベットを書くための「3つの区別」

「この文字は、v なのか、それともr なのか…?」
塾で小中学生に英語を教えていると、「文字の書き方」が気になることがあります。

手書きで文字を書くとき、その書体は人それぞれです。文字の大きさや形など、人によってある程度の個性はあって良いと思います。
ただ、「読みにくい」レベルになると話は別です。せっかく単語のつづりを覚えて答案を書いたのに、別の文字を書いたと思われて、「つづり間違い」の減点をされてはもったいない。
宿題の確認、小テストの採点、作文の添削など。様々な機会で読みにくい文字を見つけるたび、「この文字はこう書くと、もっと読みやすくなるよ」と伝えてきました。

すると次第に、読みやすいアルファベットを書くうえで気をつけるべきポイントが見えてきました。
大切なのは、「似ているものを区別できるように書く」ことです。さらに言えば、大文字についてはあまり心配いりません。重要なのは、一部の小文字における「3つの区別」です。

この記事では、読みやすいアルファベット(小文字)を書くための「3つの区別」をお伝えします。

※ここでいう「読みやすい」とは、「何の文字を書いているのか読み手が区別できる」という意味です。芸術的なフォントのように「美しい」文字を書くことが目的ではありません。
※この記事に登場する手書きの文字は、「読みやすい」例も「読みにくい」例も、これまで見た文字の特徴を基に私が書いたものです。特定の生徒の文字を拝借したものではありません。


なぜ「読みにくい」アルファベットが生まれてしまうのか?

例えば、次の英文を手書きで書いてみましょう。

The quick brown fox jumps over the lazy dog.
(素早い茶色のキツネが怠けている犬を飛び越える)

とびきり美しいわけではないけれど、少なくとも読みにくくはないでしょう。
では、これはどうでしょうか。

「読みやすい」とは言いづらい。
わかるものもありますが、何の文字なのかわからないものもあります。
The quick brown fox jumps over the lazy dog. と書いたつもりなのに、

The yuiok bvowvfcxjnwpscrev tro luiy dcy
(???)

と読まれてしまうかもしれない。
上の読みにくい方の文は、やや大げさに書きました。ただ、一部の文字が読みにくい答案を見かけることはよくあります。

なぜ、読みにくいアルファベットが生まれてしまうのでしょうか?

日本語の文字(ひらがな・カタカナ・漢字)と比べたときに、英語の文字(アルファベット)には次のような特徴があります。

・数が少ない
・画数が少ない
・形が単純

こうした特徴があるので、アルファベットの「書き方」自体は、ひらがな・カタカナ・漢字(特に漢字)に比べれば簡単なように思えます。

ただ「書き方を覚えやすい」ということは、裏を返せば「似た形のものが生まれやすい」ことにもなります。
スマホやパソコンで文字を打つときには、別々のキーを押せば別々の文字を書けます。ですが、手書きで文字を書くときには、書き方を工夫して、似ているものを明確に区別する必要があります。

では「似ているものを区別できるように書く」には、具体的に何をすればよいのか。ポイントは3つです。

①「高さ」を区別する
②「開け/閉じ」を区別する
③「まる/カク」を区別する

では、この「3つの区別」を詳しく見ていきましょう。

①「高さ」を区別する(h/n, n/r, f/t)

先ほど、英語の文字(アルファベット)の特徴を3つ紹介しました。「数が少ない」「画数が少ない」「形が単純」。ですが、もう1つの特徴をここで追加します。

・高さが異なる

日本語の文字は、拗音(っ、ゅ、ょ など)を除き、基本的には同じ高さで書きます。
なのでアルファベットも、大文字であれば、読みにくい文字が発生することはあまりありません。

問題は小文字です。小文字は文字によって高さが異なる。背が低かったり、高かったり、下に抜けたり。
アルファベットの書き方を習った頃、4本線のノートに書いて身につけた「高さ」の区別を、行の線が1本のみになってもつけ続けることが必要です。

「高さ」の区別をつける必要があるのは、例えばこの組み合わせです。

このように、「高さ」を区別することにより、似ている文字(h/n, n/r, f/t)を区別して書くことができます。

②「開け/閉じ」を区別する(a/u, o/c)

漢字の書き方を習うときには、「とめ、はね、はらい」が重要だと言われます。アルファベットでは、「とめ、はね、はらい」の代わりに、「開け/閉じ」、「まる/カク」を区別することが重要です。

「開け/閉じ」を区別するとは、線で描いた曲線にスキマがある(開け)のか、閉じた円になっているのか(閉じ)、を区別するということです。

「開け/閉じ」の区別をつける必要があるのは、例えばこの組み合わせです。

このように、「開け/閉じ」を区別することにより、似ている文字(a/u, o/c)を区別して書くことができます。

③「まる/カク」を区別する(u/v, m/w + n/r/u/v)

最後に「まる/カク」です。
「まる/カク」を区別するとは、線で曲線を描くのか、鋭い角を描くのか、を区別するということです。
微妙な違いですが、それだけにしっかりと区別して書きたいところです。

「まる/カク」の区別をつける必要があるのは、例えばこの組み合わせです。
「高さ」の区別で登場した組み合わせ(n/r)もここに絡んできます。

このように、「まる/カク」を区別することにより、似ている文字(u/v, m/w + n/r/u/v)を区別して書くことができます。

まとめ

この記事では、アルファベット(小文字)の書き方について、「似ているものを区別できるように書く」3つのポイントをお伝えしました。
改めて、3つのポイントと例(区別するべき文字の組み合わせ)をまとめておきましょう。

①「高さ」を区別する(h/n, n/r, f/t)
②「開け/閉じ」を区別する
(a/u, o/c)
③「まる/カク」を区別する
(u/v, m/w + n/r/u/v)

アルファベット(小文字)を書くとき、この3つを意識すれば、「似ているものを区別できるように書く」ことに近づけるはずです。
読みやすい文字の書き方を身につけ、英語学習を楽しんでもらえれば嬉しいです。

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