わたしが苦手なおばあちゃん
おばあちゃんと話すのは苦手だ。
まず何を話していいか分からない。次に何を話していいか分からないし、最後に何を話していいか分からない。
「最近元気か?」という問いにはわたしのカタカナだらけの仕事ぶりや東京での生活を説明したところでおばあちゃんはよく分からないだろうし、逆にわたしからの「逆に最近どう?」という問いにも私が理解できる範囲で答えてくれようとする。結果、会話は続かない。
近況以外に双方共通の話題がないので、話を振ることも振られることも無い。自分の話題の引き出しの乏しさにいつも嫌気がさす、だから特に年配の方と話すのは避けたいと思ってしまうのだ。
話すのは苦手。でも、おばあちゃんのことは好きだ。
おばあちゃんも生粋の職人で、ものづくりが好きで、それを自分が受け継いでいるというところが嬉しい。
遺伝子が脈々と受け継がれていて、しかもそれをわたしが享受していることがなんだか誇らしい。
おばあちゃんと楽しく話すのは苦手だけど、おばあちゃんが作業している側でじっとしているのは好きだ。
作ろう。東京に戻ったらもっとたくさん作ろう。
わたしの創作意欲なんて、こんな単純なものなのだ。