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井上智公
2021年9月27日 23:19
冒険の途中でふと喉の渇きをおぼえたわたしは、夕暮れどきに立ち寄った街でカフェのドアを開けた。「いらっしゃい! そういえば最近、夜中になると二階から妙な物音がするんだよ」 カウンターでカップを拭っている髭のマスターが、ありがちな挨拶に続けてなにやら唐突な相談を持ちかけてきた。さすがに気になったので、初対面ではあるが、わたしはボタンを押してもう一度話しかけてみた。すると、「いらっしゃい!
2021年9月9日 23:53
私の自動車にはAIが搭載されている。私はその実力を試すように、崖の手前に差しかかったところでAIへ指示を出す。「アホクサ、ブレーキかけて」「はい、かしこまり」 すると自動車のブレーキが、脱兎のごとく駆け出した。私は奈落の底へと沈みゆくマイカーの中で、この文章を書いている。 アホクサに漢字は難しい。