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人の欠点を探さず、長所を見ることです

阪急グループ創業者 小林一三

●阪急グループを育て、多くの人材を輩出させた小林一三の言葉として味わうと、平凡ななかに重みを感じる。

●「どうも、彼はあそこが悪いとか、彼にはとうてい難しいという風に考え出すと、いかなる人にでも欠点があるのだから、ちょっと責任をもたせにくくなる」
 だから、小林は長所を見るように心がけたのである。

●裸一貫で実業界入りし、阪急、宝塚少女歌劇、東宝、日劇を創設するという新事業をやってのけた小林は、多くの苦難に立ち向かわざるをえなかった。

●そうしたとき、痛切に感じたのは仕事を任せられる人材を得ることの困難さだった。そこで小林は、人材を育てるノウハウを「トライアルアンドエラー」の苦闘のなかで身につけていった。そのノウハウの基本は、「人の欠点を探さず、長所を見る」ことであった。

●そのうえで、「適材を適所に置くというようなことは口では簡単にいえるけれど、そんなに適材など転がっているものではない。責任をもたせてドシドシ仕事をさせることが一番だ。そうしていると、たいがいの若い人は、なんでもできるようになる‥‥と信じてその主義を実行している」
というやり方をした。

●「今日自分が思うように仕事がズシズシ運んでゆくのを大いに楽しみとしつつあるのも、畢竟(ひっきょう)各方面に適材、すなわち「人」を得たからであるから、事業の成否は「人」にありと断言しうるのである」

●小林が後年、こうした経営の醍醐味を楽しめたのも、苦闘時代に人材を育て上げるうえで創意工夫をこらし、大胆に実践したからである。

●小林式の人材育成法から学ぶものは、「人間は育て使う側の見方、用い方によって大きく変わる」ということだ。長所に目を向ければ伸び、短所に目を向ければ伸びない。平凡なようだが、この実行が事業の成否を分けるのだ。

●小林は、この事実を自らの事業の中ではっきりと証明したのである。

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