苦中の苦を受けざれば、人の上の人たること難し
『通俗編』●清代に編集された『通俗編』という本のなかに出てくる言葉である。意味は、説明するまでもないであろう。逆境の中におかれた体験を持たない者は、リーダーとしての資格にかけているというのだ。
●かつて「電力の鬼」といわれて政財界に重きをなした松永安左エ門は、ボンボン社長が面会に来ると、よく、
「人間はな、三つのことを経験しないと一人前にはなれん。一つは闘病、二つめは浪人、三つめは投獄だ」
といって、相手をケムに巻いていたという。
●彼自身、この三つのことを三つとも経験し