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子供と野菜

※こちらは宮古新報さんで書いているコラム
【情報力】のアーカイブです。

プロローグ


料理人という立場で僕は野菜をいろいろな角度から見る事があります。

ある時は調味料として、またある時はソースとして。薬味や、水分、スープの旨味等々様々な捉え方をしており、野菜が無くてはコース料理は作れません。

そんな中、いろんな場所で特徴的な野菜の違いを見てると、宮古島の野菜の特徴は「苦味」や「エグ味」にあると考えてます。

この特徴は温暖な地域だからこそ発生する「虫」との相関関係にあります。

野菜は自分自信に「毒」を持つ事で「天敵」である虫から身を守る生存戦略をとっており、
その毒の正体が苦味やエグ味だったり、ネギ等の辛味だったりするので、虫がたくさん発生する
亜熱帯地域の野菜は大量の天敵から身を守る為にその成分を強く持つようになります。

人はこれを何度か食べるうちに唾液の力で毒素を分解する力や免疫を持ち、
「宮古島の野菜は味が濃い!」と認知し栄養源とし摂取します。
「毒をもって毒を制する」事が可能な動物で、
だからこそ生態系で優位な立場にいるのでしょう。
逆に野菜が嫌いな大人はこの「分解する力が弱い」というだけの、あくまでもその人の特徴という事になるそうで、わがままでは無いというのが事実です。

それでは子供はどうでしょう。

味の基本となる要素は、「甘味、塩味、酸味、苦味、うま味」の5つ。このうち子供が本能的に好きな味は、甘味、塩味、うま味の3つとされています。
一方で「酸味」と「苦味」は、腐敗物や毒物などの味と似てるので、子供は自らの命を守るために本能的に避けてしまうという説があります。
そして、野菜には酸味や苦味があるものが多いので、どうしても大人よりも数倍味覚に敏感な子供には嫌われてしまう傾向にあるようです。

要するに
【わがままでは無い】というのが重要なメッセージで、本能的に生きる為の健気な姿勢なのです。

そうなると昔からアップデートされてない情報を元に、子供を怒ったり,評価したり、説得するのは親も子供も学校も無駄なストレスやエネルギーが発生してる事になります。

体の成長と共に味覚も成長する。
そのように考えると少し楽になるかもしれません。
野菜は大人になれば皆食べます。

料理人的に言うと、子供に人気な根菜、カボチャ、冬瓜はよく火を入れる事で成分が糖化し、特に甘味が出る野菜なのでオススメです。
お菓子の糖分は控えめに。
それではまた来週。


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