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ヤレるのか、ヤレないのかの境界線、それを突破できず一敗地にまみれる若者たちのすべて『やれたかも委員会』 境界線を超える勇気をもたなかった僕たちの失敗
※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)
【レビュアー/堀江貴文】
ウェブの連載でジワジワと人気になって来た本作が、ついに紙の単行本として発売された。それもクラウドファンディングを活用してだ。
愛読者の私はウェブにも課金してたので当然クラウドファンディングも支援したら、やれたかものリアル札が送られて来た。地味に嬉しい(笑)。
作者の吉田さんは既存の出版社と上手くいかず、ネットに活路を求めた様だが、正直大成功に向かっていると言っていいだろう。最近この様にウェブデビューする漫画家が多いのは面白い傾向だ。
さて漫画の内容であるが、これがなんとも歯痒いというか、あの青春の甘酸っぱさが満載である。
誰もが経験したであろう、ここでヤレるのか、ヤレないのかの境界線を、一歩踏み出す勇気があるのかどうか。
そして多くの人たちがそれを突破できずに一敗地に塗れる。
そんな悔しい経験をしているからこそ、この漫画は共感を呼ぶのだと思う。
まさに私が著書で散々繰り返し言っている一歩踏み出すことの大事さだ。
「美人と付き合う男は美人に告白した男だけ」なのだ。
『あたしンち』という主婦のあるある漫画がロングセラーになっていたが、おそらくCGM的に読者の経験を収集するだけでも、相当のロングセラーになる可能性を秘めているのがこの漫画の面白いところ。
『あたしンち』はたまたま出版社のメディアファクトリーが同じビルだったことがあって、定期的に『あたしンち』のネタ収集会が行われていたのを私は知っている。
今ならネットで簡単に収集できる様になっているし、そういう意味でも有利だと思う。
何よりこの様な面白い漫画がどんどんネット発で生まれていることが私は嬉しい。