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こんな映画を何度も思い返す。
この前観た映画が好きだった(PEACE)
お気に入り作品が増えました
✌️
世界観に浸れる素晴らしい映像美で、観ている時は現実を忘れさせてくれるのに、紡がれている一つ一つが日々の暮らしに溶け込むような映画が大好きです。
こういった作品って、「〇〇だから面白い!」と説明し難い。なんなら説明自体が蛇足に思えるほど、映画が映画だけで完成されている。
言葉で切り取りができない連立した緻密な魅力が映像にたくさん詰まっている、お気に入りの映画たちを紹介します。言葉はいらないので感想少なめです。
私はこの映画たちを何度も思い返して、現実世界を調律しています。
a human position
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出演:アマリエ・イプセン・ジェンセン、マリア・アグマロ、ラース・ハルヴォー・アンドレアセン
ノルウェー・オーレスン。ここはフィヨルドに囲まれた、色鮮やかなファサードの建物が立ち並ぶ美しい港町。夏を迎え、今は白夜の季節。この時期は、太陽の光がこの町の海と緑をさらに美しく照らし出す。
アスタはこの町で、再び動き出そうとしていた。病気療養のため、地元新聞社の記者の仕事からしばらく離れていたが、臨時雇いながら復帰も決まった。心も体も、まだまだ万全ではないが、カンならそのうち取り戻せる…。アスタは自分をそう信じ、かつての職場に戻っていった。
アスタが一緒に暮らすのは、病気ですっかり弱ってしまった心に癒しをくれる小さな猫一匹。そして自宅を職場に、古くなった椅子のリペアを手掛ける最愛のパートナー、ライヴ。特にライブとの他愛のない会話と穏やかでゆったりと過ごす時間は、今のアスタにとって何より大切なひと時だ。
記者としてアスタが担当するのは、市内で起こるささやかな出来事や小さなトラブル。自宅に戻れば、ライヴと二人だけのリラックスした時間。静かに戻りつつあるアスタの日常。
ある日、ライヴは新聞に掲載されていた記事に目を留める。それは『労働法違反で難民申請者が強制送還へ』と題された誌面の小さな記事。その内容が気になったアスタは翌日、記事を担当した記者に連絡をとる。わかったのは強制送還された彼の名はアスラン、そして勤めていた水産加工工場の連絡先…。
この映画がこの前鑑賞してとても好きだと思った作品です。スロームービー。
終始不安げな主人公の表情と、ノルウェーの現実離れした白夜の風景と、そこに唯一降り注がれるライブの愛。
シーンの美しさと、それを際立たせる静けさがとても心地よいです。
冬の旅
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出演:サンドリーヌ・ボネール、マーシャ・メリル、ステファン・フレイス、ヨランド・モロー
冬の寒い日、フランス片田舎の畑の側溝で、凍死体が発見される。
遺体は、モナ(サンドリーヌ・ボネール)という18歳の若い女だった。
モナは、寝袋とリュックだけを背負いヒッチハイクで流浪する日々を送っていて、道中では、同じく放浪中の青年やお屋敷の女中、牧場を営む元学生運動のリーダー、そしてプラタナスの樹を研究する教授などに出会っていた。
警察は、モナのことを誤って転落した自然死として身元不明のまま葬ってしまうが、カメラは、モナが死に至るまでの数週間の足取りを、この彼女が路上で出会った人々の語りから辿っていく。
人々はモナの死を知らぬまま、思い思いに彼女について語りだす。
私は彼女のように死にたいと思い続けてはいるがきっと死ねないという諦観もきちんとあります。
個人的には、究極のフェミニズム映画であり、人間讃歌だと思っている。
女が孤独に旅をすること、気まぐれにセックスをすること、身体を売ること、情けを断ること、本当の自由を求めること、ぐるぐる考えさせられる。
そんな激しい物語なのに、人々によって淡々と語られていくのが大好きだ。
白河夜船
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出演:安藤サクラ、谷村美月、井浦新
毎日、眠りながら不倫相手の岩永からの電話を待ち続ける寺子。岩永には病院のベッドで眠り続ける妻がいた。あるとき寺子は、岩永に「友達が死んだの」と打ち明ける。寺子にとって、大学時代同じ部屋に暮らしていたその友人、しおりは親友だった。しおりは男たちと添い寝して安らぎを与える“添い寝屋”をしていたが、なぜか自ら死を選んだ。彼女の死、そして不確かな不倫関係の不安から、寺子の眠りはさらに深く長くなり……。
眠り眠り眠りたくなる。そしてふにゃふにゃした喋り方をしたくなる。
これは私の理想の一つ。
世界の時計を気にせず、関わりのある人間からの電話で1日が始まるなんて。素敵な堕落。
寺子には寺子なりの抱えきれない押しつぶされそうな漠然とした不安があって、それが彼女を寝具に沈めているのかもしれないけれど……
私はこの映画でたくさん眠る安藤サクラを羨望の眼差しで観ています。
GAGARINE
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出演: アルセニ・バティリ、リナ・クードリ、ジャミル・マクレイヴン、ドニ・ラヴァ
パリ東郊に位置する赤レンガの大規模公営住宅“ガガーリン”。この場所で育った16歳のユーリは部屋の天体望遠鏡から空を観察し、宇宙飛行士になることを夢見ていた。老朽化と24年パリ五輪の為に取り壊す計画が上がった建物では、次々と住人の退去が進むが、ユーリは帰らぬ母との大切な思い出が詰まったこの場所を守るため、友だちのフサームとディアナと一緒に取り壊しを阻止しようと動き出す―。自由で明るいディアナに恋心を抱き、彼女や親友フサームとのふれ合いの中で、不器用ながらも少しずつ成長していくユーリ。消えゆく世界に留まりたい、団地から抜け出して夢を追いかけたい気持ちとの間で揺れるユーリは、解体の刻が迫るなか、空っぽになった無人の住宅を大好きな宇宙船に改造して守る事を決意する。
映画初出演初主演の主人公と、芸達者なリナ・クードリの演技の対比が最高。言語の壁を越えて伝わってくる人間味が溢れている。
そんなリアルな演技とユーリの空想世界(宇宙)のイメージがマッチして、団地から壮大な映像的世界観の広がりがある。
団地から見える空に目を凝らして、思いを馳せて、果てしない宇宙と少年の夢を体験できる映画。
奇跡の丘
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/159969268/picture_pc_40fc849c063eec93a1f06c0ccad1bc00.png?width=1200)
出演:エンリケ・イラソキ、マルゲリータ・カルーゾ
マタイによる福音書に基づくキリストの伝記映画『奇跡の丘』。キリストの誕生から律法学者らによる迫害、ユダの裏切り、ゴルゴダの丘における磔刑、そして復活までのエピソードが、無神論者であるパゾリーニによって淡々と描き出されている。
それまで下層プロレタリアートの若者を描いてきたパゾリーニが、斬新なテーマと実験的な撮影方法で新たな映像表現を確立し、ヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞ほか数々の賞に輝き、世界的な評価を高めた出世作。
初めて聖書を読んだ時、クリスチャンでは無いので、何が言いたいのかさっぱりわからなかった。
この映画では、キリストの人生が淡々と描き出されている分、パゾリーニは無神論者とあるが、逆に「イエスって本当にいたのでは……?」と思わされてしまう不思議な感覚を味わえた。
普段、神様がそばにいない私にとって、神の存在について思いを巡らせている人たちの思考を辿るのは、神様を感じることに近付いている気がして面白いです。
これらの映画は「観てください」としか言いようがないのだが、観てる途中でかなり眠くなるタイプの作品なので、ぜひ集中できる映画館などで見れる機会があれば最高です。
このような何かが派手に起こるわけでもなく、喜怒哀楽の隙間を縫うような繊細なものを掬い取って見せてくれる作品も、積極的に鑑賞してみてください。