君と宇宙を歩くために1、2
マンガ大賞受賞の話題作。
うつのみや書店で立ち読みし、半泣きになりながら購入。
そして我慢できずに道端で開封して、柱に寄りかかりながらしゃがんで読みました。2巻とも。(^^)v
あらすじ
舞台は平成の男子高校。袖の下にイヤフォンを隠して授業中に音楽を聴く、裏技が紹介されていて懐かしい気持ちになった。主人公は表紙右のヤンキー、小林くん。ヤンキーだから授業は聞かないし態度もでかいし周囲にビビられている。そんな彼と出会うのは、転校生の宇野くん。表紙左。彼は自己紹介の声量がバカデカく、いっつも独り言を呟いているし、汚いノートを持ち歩いている変わり者だ。
宇野くんは、1人で歩いていくのが大変な宇宙の暗闇のような世の中を、自分で歩けるようにノートで工夫して生きている。そんな彼の地道な頑張りを見て、できないことをできないままに生きてきた小林くんは尊敬の念を抱く。
クソ長感想
自分のできなさ、不甲斐なさ、不器用さ全てに向き合う勇気をくれる力強い作品でありながら、笑ったり宇宙にときめいたりと盛りだくさんな魅力のある漫画だ。
彼らの周りには理解のある人もいるが、大体の人間は自分から歩み寄らないと誤解したままだ。それは学校でもバイト先でも、友達でも、家族でも。
自身のおかしさが簡単に言語化され、敏感に違和に気づけるようになってしまった私たちに、それでも頑張って自分と向き合えるように応援してくれている。きっと彼らにもなんらかの言葉が当てはまる。学習障害だとか、ADHDだとか。この作品ではあえて言及はしていない。“スペクトラム”の考えに基づいて、彼らは一つの症状に限定されている訳でもないだろうし、作者も症状の特性に縛られて描いている訳でもないからだろう。宇野くんは宇野くんであり、小林くんは小林くんなのだ。
(隙自語)
障がいのある人が周りに居た環境で育った私にとって、この作品がマンガ大賞を受賞したことは大変喜ばしいし、重大なことであると感動した。
私自身は比較的、器用に生きられる部類で、運動も勉強も対人関係もバイトも人並みの努力で人並みの結果を得てきた。この作品において、小林くんの親友、朔のようなポジションだと思う。
心の底では、仕事覚えが悪い人のことを迷惑だと感じているだろうし、出来ない人は努力が足りていないからだと見下しているかもしれない。
それでも、周りに宇野くんのような存在がいたから、朔みたいに人の努力を笑うことなくいられたのだと思う。私に立派な道徳心があったとは到底思えないので、私にとっての宇野くんが与えてくれた影響なのだろう。
しかし、小林くんのバイト先、望月さんみたいな考えはきっと持っているだろうとも思う。同級生だったら助け合えば良いが、バイト仲間となるとただ迷惑に感じるだろうし、自分自身に余裕がなければ「あーこっちでやっておくから😅」と嫌味な態度をとったこともあるだろう。
また、わかり難い障がい(小林くんのような)の人に、「なんでそんな考えで行動しちゃうの?」と心配の声をかけたこともあるだろう。嫌味ではなく、本当にわからないからだ。ただ、その残酷さはこの漫画にも描かれている。
この作品は、自分自身の不器用さに向き合わせてくれる勇気と、その先にある良い未来に対する希望と、自身の不寛容でつまらない部分も暴き出してくれる、と思った。
主人公たちの成長や、朔の器用だからこその苦悩とか、宇宙の素敵な知識を楽しみに次巻を待っています!
ただ、あとがきで作者の泥ノ田犬彦先生が読者の求めているものとは違う展開になるかもとおっしゃっているのでちょっとどうなるかわからんくて怖いです!!!
あと、なんで四方田犬彦さんからペンネーム取ったんだろう!?!?!?