「お正月を写そう」の富士フイルムが化粧品を作ったワケには3つの栄養素が関わっていた
2022年最初の記事です。
本年もよろしくお願いします。
今回は、私が昨年読んだ本の中から1冊を紹介します。紹介したい本はいろいろありますが、ほんの少しでも栄養素と関係のありそうな本を選びました。
(文末に動画を貼っています)
究極のピンチが化粧品を生んだ?
タイトルは『奇跡の改革』(江上剛著)
ジャンルは企業小説、経済小説。私はこのジャンルの本がたぶん栄養学より大好きです。
この小説はフィクションという形をとっていますが、限りなくノンフィクションです。
題材は富士フィルム。富士フイルムは、私が20年余り興味を持ってウオッチしてきた企業です。
「お正月を写そう」ってCM、憶えていますか?
あれが富士フイルムでしたよね。
富士フィルムはかつて写真フィルムではダントツの国内トップメーカー、世界でもコダックに次ぐ第2位のメーカーでした。
ところが、写真フィルムの世界需要は2000年をピークに急減し2006年には半減、2010年には10分の1以下にまで激減しました。
理由はもちろんデジカメの台頭、普及です。フィルムがデジタルに置き換えられるのは、80年代の頃から予見はできていたようです。
そのままでは本業がなくなる、会社がなくなる、という状況に富士フィルムは追い込まれます。
そこで何をしたかというと、写真フィルムで培った技術を棚卸し、新たに製品化可能なものを模索し、多角化へと舵を切りました。
その中の一つが化粧品。アスタリフトシリーズです。
販売開始は2007年。中島みゆきさんと松田聖子さんが赤いドレスで登場したテレビCMは衝撃的でした。
私はその時から、なぜ富士フイルムが化粧品なのか、一体フィルム技術の何を化粧品に応用したのか、ずーっと不思議だったのですが、それがこの小説に書かれています。
大きく分けて3つ技術を化粧品に移植しています。
ナノテクノロジー
1. 微粒子を安定して必要な場所へ届ける「ナノテクノロジー」
写真フィルムの薄さは、肌の角層と同じ約20μm。
その極薄の内部に、光や色、画像を司る粒子を配置して写真はできあがります。
美しい写真に仕上げるには、微粒子を決められた場所に安定的に届ける技術が必要です。
富士フイルムは、微細な粒子をコントロールする高度なナノテクノロジーを写真分野で研究開発を続けてきました。
スキンケアに必要な優れた成分を、富士フイルムは独自のナノテクノロジーで極小化し、安定させて配合することに成功しました。
ナノ化した成分は、肌の角層のすき間に深く浸透し、必要とされる場所まで確実に送り届けられます。
コラーゲン
2. 写真フィルムも肌も、じつは主成分は、「コラーゲン」!
写真フィルムの半分は、肌の主成分と同じコラーゲンです。
富士フイルムは写真を美しいまま残すため、長い年月をかけてコラーゲンのメカニズムを解明してきました。
めざしたのは、紫外線などのダメージで劣化しない、純度が高いコラーゲンです。
最先端のコラーゲン研究を肌に活かすために、富士フイルムは「ヒトの肌と同じ構造の皮膚モデル」を開発して、肌におけるコラーゲンの働きを追究しました。
そしてついに、肌のハリを一手にコントロールするコラーゲンの役割を発見するのです。
最先端技術を駆使してコラーゲンの機能を高め、年齢とともに失われていく肌のハリにアプローチしています。
2つの抗酸化成分
3. 写真の色あせを防ぐため、「抗酸化技術」
写真の”色あせ”は「活性酸素による色素の酸化」が原因です。
富士フイルムは、紫外線による写真の”色あせ”を防ぐために、およそ4000種類もの抗酸化成分を研究し続けてきました。
写真の”色あせ”と同じく、肌のシミやシワの原因も「酸化」。
みずみずしい肌を保つには、紫外線による活性酸素のダメージを抑える必要があります。
富士フイルムは、肌にとって大事な抗酸化成分をアスタリフトシリーズに配合して、失われた肌のハリにアプローチしています。
ここで使用した抗酸化成分が、アスタキサンチンとリコピンです。
アスタキサンチンもリコピンも赤い色素。アスタリフトの商品パッケージが赤いのは、多分そこから来ていると思われます。
アスタリフトの「アスタ」もアスタキサンチンから取っています。
そしてアスタキサンチンは最強の、リコピンも2番目に強力な抗酸化物質です。
やや“こじつけ”かもしれませんが、企業小説でもあり、栄養素とも関連がある本を紹介しました。
人間生きていれば誰しも大ピンチ、絶体絶命のピンチに出くわすと思いますが、それをいち早く予見して、勇気を持って早め早めに動き出せば乗り越えられる、ということをこの本は教えてくれる・・・ような気がします。
興味を持った方はぜひお読みになってください。
この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。