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腎臓強化 絶対に外せない食品10選【後編】
この記事は下の記事の続編です。
腎臓を強化する食べ物⑥ブロッコリースプラウト
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今大注目の食品が、ブロッコリースプラウトです。
ブロッコリースプラウトに含まれる驚異の成分は、スルフォラファン。
スルフォラファンは、強力すぎる抗酸化作用でガン予防に働くほか、ピロリ菌感染による胃炎や胃粘膜萎縮を予防する効果が報告されています。
が、もちろん腎臓に対してもプラスに働きます。
高血糖抑制作用と炎症抑制作用を持ちます。
どちらかと言うと、炎症抑制作用の方が強力な気がします。
スルフォラファンは、転写因子Nrf2 を活性化させるからです。
転写因子とは、遺伝子の発現に関わるタンパク質。
Nrf2は、酸化ストレスを軽減する遺伝子の発現を増加させたり、病的な炎症を引き起こす遺伝子の発現を低下させることで、細胞を保護する役割を果たします。
スルフォラファンによる転写因子Nrf2 の活性化作用で、腎臓の細かな血管が傷つき、腎機能が低下するのを防御します。
ブロッコリースプラウトは、驚くほど価格が安いです。
工場での水耕栽培であるため、気候に関係なく価格が安定しているのも強みです。
腎臓を強化する食べ物⑦シナモン
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シナモンの健康効果として、血糖値やコレステロールを抑えることが知られています。
これだけでも、小さな血管が傷つくのを防ぐ効果が期待できます。
加えてシナモンには、腎臓(糸球体)の細かい血管、毛細血管を強化する能力があると考えられます。
それは、シナモンにはtie2(タイツー)を活性化させる働きがあるからです。
毛細血管は、一層の壁細胞の内側に内皮細胞があるシンプルな構造です。
tie2は内皮細胞に現れる酵素の一種で、内皮細胞と壁細胞を結びつける接着剤のような働きをします。
シナモンはtie2を活性化させることで、内皮細胞と壁細胞の結合を強固にして、それにより毛細血管から血液が漏れにくい状態にします。
シナモンのほかにtie2を活性化させる食べ物として、ルイボスとヒハツが挙げられます。
ルイボスは、ノンカフェインのルイボスティーで知られています。
ヒハツは沖縄以外の人には馴染みが薄い食品です。
八重山諸島で作られるややクセのある香辛料です。
沖縄ソバ以外にスープ、カレー、パスタ、うどんなどに使えます。
沖縄ではスーパーで普通に購入できますが、本土の方の場合は通販で入手できます。
シナモン、ルイボス、ヒハツのいずれかで、腎臓の毛細血管を強力してください。
腎臓を強化する食べ物⑧黒酢
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黒酢に多く含まれているDアミノ酸に腎臓保護効果があると考えられます。
アミノ酸には、Lアミノ酸とDアミノ酸の2種類が存在し、その内タンパク質の材料になれるのはLアミノ酸のみです。
Dアミノ酸はタンパク質の材料にはならず、遊離アミノ酸として単体で体の生理作用に働きます。
黒酢にはDアミノ酸が豊富ですが、そのDアミノ酸の一種であるDセリンに腎機能維持との関連がありそうです。
2018年金沢大学の研究ですが、腎障害を持っているマウスをDセリン投与のグループとDセリン投与なしのグループに分けて観察したところ、Dセリンを投与したマウスは腎障害が軽減した、という結果が出ました。
人を対象とした研究はありませんが、腎移植をした人、急性腎障害の人は、血液中のDセリン濃度が高いことが分かっています。
Dセリンはじつは腸内細菌でも作られます。
腎臓が危険な状態に晒された時に、体の生体反応として緊急的に腸がDセリンを製造するのだと推測できます。
このことから、Dセリンには腎機能が低下するのを防ぐ働きがあるのではないかと考えられます。
黒酢を使ったレシピもさまざま。
私が最近作ったレシピは「鶏肉と野菜の黒酢炒め」。
腎臓を強化する食べ物⑨納豆(大豆食品)
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大豆食品を推奨する理由は2つ。
一つ目はタンパク質が豊富な食品であること。
腎臓は細かい血管でできています。
その血管の材料は、タンパク質に他なりません。
腎臓が元気であるためには、とにかくタンパク質が不足してはいけません。
腎機能が低下するとタンパク質を制限するケースがありますが、その目安となるのがeGFR60以下、慢性腎臓病(CKD)と診断されたケース。
eGFRが60以上の場合には、タンパク質制限は必要ありません。
大豆食品を推奨する理由、もう一つは、含まれる有機リンの吸収が緩やかなこと。
自然の食べ物に含まれる有機リンは、加工食品に多い無機リンと比べると吸収率が低いです。
なので、腎臓の負担をそれほど心配する必要はありません。
さらに植物性タンパク質である大豆食品は、動物性タンパク質と比べて有機リンの吸収スピードが遅いことが分かっています。
ゆっくり腎臓を通過させることで、腎臓の負担をより軽くする食品です。
実際に、植物由来の食材を多く使った食事をしている集団は、そうでない集団と比べて糸球体濾過率が有意に高い値を示した、という研究報告も存在します。
大豆食品には、納豆の他にも、
豆腐、豆乳、湯葉、油揚げ、厚揚げ、
きな粉、もやし、枝豆があります。
その中で納豆を一押しするのは、
・中に含まれる納豆菌が腸内環境をよくすること
・水溶性食物繊維がブドウ糖の吸収を緩やかにすること
が挙げられます。
腎臓を強化する食べ物⑩ コーヒー
食べ物ではなく飲み物です。
その飲み物はコーヒー。
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意外なようですがコーヒーは血糖値を下げ、糖尿病のリスクを軽減します。
2018年に発表された論文では、
1日5杯程度コーヒーを飲む人は、飲まない人と比べて糖尿病のリスクが29%低かったことが報告されています。
別の論文では、
1日3~4杯コーヒーを飲む人は、1~2杯飲む人よりも糖尿病のリスクが減少したという結果が出ています。
国立国際医療研究センターが2009年に行った研究でも、
1日3~4杯コーヒーを飲む人は、コーヒーをあまり飲まない人と比べて、男性で17%、女性で38%、糖尿病を発症するリスクが低いという傾向が見られました。
その理由として挙げられている成分が、
ポリフェノールの一つであるクロロゲン酸です。
クロロゲン酸は糖質分解酵素の働きを阻害して、糖質の吸収を抑え、食後血糖値の上昇を抑えます。
さらにクロロゲン酸は、GLUT4というブドウ糖を細胞に輸送する物質の発現を促進させることが分かっています。
結果として、血液中のブドウ糖の量を減らす、つまり血糖値を下げる役割を果たします。
前編・後編 まとめ
腎臓を強化する絶対に外せない10の食品は、
①大麦(もち麦)
②ショウガ
③ブルーベリー
④スイカ
⑤玉ねぎ
⑥ブロッコリースプラウト
⑦シナモン
⑧黒酢
⑨納豆(大豆食品)
⑩コーヒー
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