【W発酵】甘酒 健康効果5選[前編]
皆さんは、甘酒にどのようなイメージをお持ちでしょうか。
私を含めた中高年世代の人は、子供の頃、冬の寒い日に飲んだ甘酒の味が忘れられない、という人も多いと思います。
当時は、今のように清涼飲料水をはじめ美味しい飲み物も少なく、子供はまだコーヒーを飲めませんでした。
そのため、甘酒は数少ない、温かく美味しい飲み物の一つだった記憶があります。
その甘酒、含まれる成分や栄養素で考えると、子供よりもむしろ中高年にこそ飲んでほしい超健康ドリンクです。
それもそのはず、甘酒は麹菌や酵母、もろみで発酵、熟成させた発酵食品だからです。
この記事では、その点についてたっぷり解説します。
「なぜ今まで飲まなかったんだ」
と、多くの方は悔しい思いをするかもしれません。
記事の内容は、
①甘酒の種類
②甘酒の健康効果5つ
③甘酒を飲む最適な量
④甘酒を飲むタイミング
⑤甘酒 絶対NG商品
⑥甘酒 お薦め商品3選
⑦甘酒お薦めレシピ5選
(④〜⑦は【後編】で)
①甘酒の種類
甘酒には2種類あります。
1つ目は、米麹から作る甘酒。
もう一つは、酒粕から作る甘酒。
米麹から作る甘酒は、蒸した米に麹菌を加えて数時間保温して、米の成分を分解してできたものです。
米に含まれるデンプンやタンパク質が、麹菌の働きによってブドウ糖またはアミノ酸に分解されているため、あの甘味が出てきます。
酒粕から作る甘酒は、米麹から作られた甘酒に酵母を加えて、アルコール発酵させます。
それを搾ると液体と固体に分離され、液体が日本酒に、搾りカスの固体が酒粕になります。
その酒粕をお湯で溶いて砂糖を加え、もろみで発酵させたものが甘酒です。
米麹から作る甘酒と違って、微量のアルコールが含まれています。
アルコールに弱い人、子どもや妊婦さんは米麹から作る甘酒がいいでしょう。
酒粕から作る甘酒のアルコールは微量ですが、呼気からアルコールが検出される可能性があります。
運転前に飲むのは注意が必要です。
また、砂糖を加えていることから、どちらかといえば、米麹から作る甘酒を私はお薦めします。
②甘酒の健康効果5選
⑴即効性のある疲労回復
ただしこれは、米麹から作る甘酒に限られます。
米麹から作る甘酒は、麹菌の働きによってデンプンがブドウ糖に分解されているため、速やかに腸から吸収されます。
吸収されたブドウ糖は、とくに脳のエネルギー源になって、脳の疲労を緩和します。
精神的な疲れからくる集中力の低下、イライラを感じた時には、甘酒をひと口飲むのがお薦めです。
甘酒には、糖質代謝に必要不可欠なビタミンB群も含まれているので、エネルギーに変換されやすいというメリットがあります。
甘酒が“飲む点滴”と言われるのは、それが理由です。
⑵腸内環境の改善
甘酒に含まれる麹菌やオリゴ糖、水溶性食物繊維は、腸内で善玉菌のエサとなり善玉菌を増やします。
そして、腸内善玉菌が短鎖脂肪酸を作り出します。
短鎖脂肪酸は、
①腸内を理想的な弱酸性にする
②腸のエネルギーを作り出す材料となる
③腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進する
(便通の促進)
これらの働きで腸内環境を整えます。
さらに、甘酒の主原料である米麹と酒粕を摂取すると、腸管バリア機能を向上させるムチンの量が増加することが分かっています。
ムチンは、糖とタンパク質が結合した多糖類の一種で、胃腸を覆う粘膜の粘液の主成分です。
病原菌や毒素から腸管を守る役割を担います。
⑶リラックス&安眠効果
甘酒にはGABA(γアミノ酪酸)という物質が含まれています。
GABAには、交感神経を抑えて興奮した神経を落ち着かせる、ストレスを緩和する、睡眠の質を整えるなどの効果があります。
また、酒粕から作る甘酒には酵母が多く含まれていて、それが深い眠りを誘導するアデノシンという脳内物質を活性化します。
これによって、夜中に目が覚めにくい、深い睡眠に導きます。
⑷美肌&美髪効果
甘酒は美肌にも働きます。
米麹に含まれるグルコシドセラミドは、皮膚の角層に存在しているセラミドの元となる物質です。
肌の保湿力の向上、皮膚のバリア機能改善に効果が期待できます。
さらに、米麹に含まれるN-アセチルグルコサミンは、「天然型グルコサミン」とも呼ばれます。
コラーゲンやヒアルロン酸の合成促進、角層の水分量増加に効果があると言われています。
また、甘酒はビタミンB群を豊富に含みますが、その中のビタミンB6はタンパク質の代謝に欠かせません。
肌のタンパク質層の代謝を活発にすることで、新陳代謝を促進します。
同じくビタミンB群の一つであるビオチンは、髪の毛の主成分であるケラチンの合成を助ける働きがあります。
育毛や発毛の作用が期待されており、髪の毛の艶やハリやコシにもいい影響を与えます。
⑸コレステロール値を抑える
甘酒を飲むことによって、LDLコレステロール値を下げることが期待されています。
その効果を生み出す成分は、レジスタントプロテイン。
レジスタントプロテインは、難消化性タンパク質(消化されないタンパク質)の一種です。
食物繊維に近い機能を持つ物質です。
レジスタントプロテインが腸管内でコレステロールとくっついて、体外への排出を促進します。
コレステロール排出以外にも、便秘改善、肥満抑制効果などの生理作用も持っています。
③甘酒を飲む最適な量
米麹から作る甘酒の場合、ブドウ糖が速やかに吸収されて血液に入ります。
一度に多く飲み過ぎると、血糖値が急上昇します。
したがって、1回当たりの量は
30~50ml(小さなコップ1/3~半分)、
1日の合計100ml前後で抑えて下さい。
この量を、ゆっくりチビチビ飲むことをお薦めします。
糖尿病の人、血糖値が高めの人は、(ブドウ糖がほぼ含まれない)酒粕から作る甘酒の方がいいかもしれません。
甘酒の栄養素を効率的に無駄なく摂取する温度は、60°Cくらいの、熱すぎないホッコリ温かい温度がベストです。
理由は、約100種類の酵素がもっとも活性化するのが、大体60°C前後だからです。
それ以上熱くなると、酵素の活性度が下がります。
夏は冷やして飲みたい所ですが、酵素的に言うとベストとは言えません。
この記事は後編に続きます。
この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。
【甘酒 健康効果5選&お薦め甘酒3選】
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