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カルシウムとマグネシウムの理想的な比率[2:1]は昔の話です
カルシウムとマグネシウムの摂取においては、そのバランスが大切です。
では、カルシウムとマグネシウムの理想的な比率はどれくらいか。
それは、なぜか。
さらに、カルシウムとマグネシウムのバランスを整える食品、バランスを崩す食品は何か。
以上のことについて解説します。
(記事の文末に動画を貼っています)
バランスが悪いと痙攣やこむら返りに
カルシウムとマグネシウムは、さまざまな場面で協調して働くことから、兄弟関係にあるミネラルです。
ブラザーイオンとも呼ばれます。
では、具体的にどういう場面で協調するのか。
代表的なものは、筋肉の働きです。
筋肉が収縮する時にはカルシウムが、逆に弛緩する時にはマグネシウムが働きます。
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カルシウムとマグネシウムのバランスが悪くて、カルシウム優位の場合は、収縮のために筋肉が緊張しっぱなしになります。
それが原因で起こるのが痙攣(けいれん)、ふくらはぎで起こると脚がつる、こむら返りです。
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高血圧や、狭心症、心筋梗塞にも
ふくらはぎや二の腕の筋肉は骨格筋といいますが、筋肉はそれ以外にも平滑筋があります。
平滑筋が存在する重要な場所に、血管があります。
血管を取り巻いているのも筋肉です。
平滑筋も当然、カルシウムとマグネシウムバランスの影響を受けます。
カルシウム優位の状態だと、血管が収縮、縮みます。
すると、血圧が高くなります。
高血圧の原因は、塩分の摂り過ぎだけではありません。
カルシウム優位、そしてマグネシウム不足も高血圧の原因です。
![](https://assets.st-note.com/img/1655603910341-JwEUvlhFZn.jpg?width=1200)
もっと怖いのは、それが心臓を取り巻く冠状動脈で起こることです。
狭心症や心筋梗塞のリスクが高まります。
カルシウム優位の例ばかり書いていますが、マグネシウム優位の高マグネシウム血症という症状が稀にあります。
その場合は筋肉が緩みっぱなしになるので、筋力低下、低血圧が起こります。
このように、カルシウムとマグネシウムは協調して働くことから、理想的なバランスで摂取して、体の中に存在する必要があります。
では、カルシウムとマグネシウムの理想的な比率です。
2:1は、今は昔?
長い間、そして今でも、2:1(カルシウム2マグネシウム1)だと定説のように言われ続けています。
書店に並んでる家庭医学書やネット記事などを見ても、そのほとんどが2:1と書かれているはずです。
それを裏付けるかのように、カルシウムとマグネシウムのサプリメント(海外メーカーの一部の商品を除いては、カルシウムとマグネシウムはセットです)は、ほとんどが 2:1 の比率で配合されています。
ところが、近年「この比率は違うのではないか」という専門家の見解が増えています。
マグネシウムのウエイトはもっと高いのではないか、ということです。
マグネシウムは600以上もの仕事をする最強のミネラルです。
このマグネシウムの正体も、昔から分かっていたわけではなく、むしろ近年になって全容が見えてきました。
そう考えると、2:1 の比率もそろそろ修正すべきだということです。
そもそも 2:1 の根拠が分からないのです。
あらためて調べましたが、2:1の根拠が明記されている記事は見つかりませんでした。
1:1には根拠もある
では、理想的な比率はいくつでしょうか。
もっとも多く見られる見解は、 1:1 のようです。
それを裏付ける(に違いない)グラフがあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1655600755533-dMgCQAiLsk.jpg?width=1200)
虚血性心疾患死(心筋梗塞、心不全)と、食事性カルシウム/マグネシウム比の相関関係です。
横軸の数字は、マグネシウムを1とした場合のカルシウムの割合です。
一番右の4は、カルシウム対マグネシウムの比率が 4:1であることを示しています。
見ての通り、この比率が高いほど、心疾患死亡率も高いことが分かります。
さて、日本はどこかというと左下。ほぼ1に近い場所。
ということは、限りなく 1:1 だということです。
「優秀ではないか。何も問題なし。対策も必要ない」と、早とちりしないでください。
このグラフは(右下)1978年の統計なんです。
残念ながら、現在はというと、 2:1 以上です(2011年の資料)。
“昭和”に戻れ!
40年余り前は、今と食事内容がどう違っていたのでしょうか。
1970年代は、外食チェーンやコンビニ、ホカ弁といったものが(なくはなかったですが)まだまだ少ない時代です。
ほとんどは、家庭で作った食事を食べていたはずです。
それも、和食が多かったと記憶しています。
そのため、1978年は 1:1 に限りなく近かったのだと、私は推測しています。
マグネシウムを多く含む食品を見ていくと、圧倒的に多いのは、海藻類と大豆食品です。
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現代の食卓では、少なくなっているような気がします。
なかでも海藻類は減ってます。
代表的な食品の、カルシウムとマグネシウムの比率を見てみます。
乾燥ワカメ 1:1
海苔 14:15
昆布 14:10
大豆 8:10
豆腐 1:1
納豆 11:10
玄米(発芽玄米) 1:11
大麦 10:15
アーモンド 5:6
カシューナッツ 1:6
カルシウムとマグネシウムの比率を整えるために、まず食事内容をタイムスリップさせる必要があります。
海藻類や大豆食品、雑穀を取り入れた、伝統的な和食スタイルに近づけることが大切です。
バランスを崩す食品は?
では逆に、カルシウムとマグネシウムの比率を崩してしまう食品です。
ズバリ、牛乳、乳製品です。
![](https://assets.st-note.com/img/1655604210867-DM4gfB4Cxb.jpg?width=1200)
牛乳のカルシウム対マグネシウムの比率は、11:1です。
圧倒的にカルシウム優位な食品です。
乳製品は、食品によって微妙な違いはありますが、概ね10:1前後です。
牛乳、乳製品を摂れば摂るほど、カルシウム対マグネシウムの比率は上がっていきます。
このことを知っていれば、現代でも1:1に比率に近づけることは、決して難しくはありません。
海藻類や大豆食品などをしっかり食べて、牛乳、乳製品は極力控える。
ポイントはこの2つです。
まとめ
カルシウムとマグネシウムは、さまざまな場面で協調して働くことから、兄弟関係にあります。
筋肉が収縮する時にはカルシウムが、逆に弛緩する時にはマグネシウムが働きます。
カルシウム優位の場合は、筋肉が緊張しっぱなしになり、痙攣、脚がつる、こむら返りが起こります。
血管の平滑筋で同じことが起こると、血管が収縮して、血圧が高くなる高血圧や、心臓で起こる狭心症、心筋梗塞を招きます。
カルシウムとマグネシウムの理想的な比率は、長い間、2:1だと言われ続けてきましたが、近年、専門家の間で多く見られる見解は1:1です。
実際に1970年代の日本は、それに近い食事内容だったこともあり、虚血性心疾患死がきわめて少なかった、という事実があります。
ですから、現代に生きる私たちも食事内容を見直せば、カルシウムとマグネシウムの比率を理想値にすることは十分可能です。
ポイントは海藻類や大豆食品をしっかり食べて、牛乳、乳製品は極力控える。
この2点です。
ぜひ、出来ることから始めてください。
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