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モズクの季節だ!【海藻類は長寿の食べ物だった】
沖縄では今、モズクが旬を迎えています。
モズクや昆布、ワカメ、海苔などの海藻類が、きわめて栄養豊富です。
そこで今回は、海藻類が腸内環境を改善して、免疫力を引き上げる、長寿の食べ物であることを解説します。
(記事の文末に動画を貼っています)
長寿の島だった沖縄は海藻類が豊富
沖縄では、3月後半から生モズクがスーパーの店頭に並びます。
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大体6月の前半くらいまでで、約3か月間です。
この3か月間は、私にとっても心が躍る「春」そのものです。
(実際の春は、沖縄は短いですが)
もし、この期間に沖縄にお越しになる場合は、スーパーや直売所で生モズク購入して味わってください。
そして、このモズクが美味しいだけではなく、じつに栄養豊富で長寿の食べ物であるという話です。
沖縄は、かつては健康長寿の島ということで有名でした。
女性男性ともに平均寿命ナンバー1でした。
その理由については諸説あります。
温暖な気候とか、助け合いの精神(ゆいまーる)とか、大家族の中で老人が孤独を感じにくいとか。
食べ物関連では、戦後しばらくは主食が米(白米)ではなくて芋(ビタミンCや食物繊維が豊富)だったのがよかったとか、いろいろ考えられます。
その中の一つに、海藻類をよく食べていたという説があります。
沖縄の人は本当に海藻類をよく食べます。
すでに話したモズクをはじめ、1〜3月はアーサ(あおさ)が旬の時期です。
また、沖縄は一人当たりの昆布消費量が一位であることで知られています。
これは、昆布で出汁をとるだけではなく、炒めて食べる(クーブイリチー)習慣があるからです。
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それ以外にも、日常的とは言えませんが、海ぶどうやモーイという海藻もあります。
では、海藻類がどうして長寿に繋がるのか、本題に入ります。
ミネラル(ヨウ素、マグネシウムetc.)
海藻類はビタミンとミネラル、中でも、海の生き物はミネラルがたっぷりです。カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、ヨウ素などです。
海藻類のミネラルでもっとも有名なのはヨウ素です。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料であり、ヨウ素が不足すると新陳代謝が滞ったり、成長ホルモンの分泌が悪くなったりします。
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ヨウ素に関しては摂り過ぎも懸念されていますが、それについては、また後ほど触れます。
ヨウ素も大切ですが、どちらかというとマグネシウムが多いのが、私的には海藻類を食べてほしい理由です。
マグネシウムは600以上の役割を持つ最重要ミネラルですが、日本人の摂取量は不足気味です。
その原因の一つとして海藻類の摂取量が減っていることがあるのではないかと私は考えます。
マグネシウムが最重要ミネラルだという理由は、以下の記事で解説しています。
水溶性食物繊維
もう一つ、海藻類の栄養素で注目すべきは水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維の効果は、下の4つです。
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これを見れば、水溶性食物繊維が腸内環境の改善に大きく貢献することは一目瞭然です。
腸内環境の良し悪しが免疫レベルを決定づけるというのは、今では半ば常識です。そこに不可欠なのが水溶性食物繊維です。
さらに右上のマスを見ると、水溶性食物繊維は糖尿病や(コレステロール抑制により)動脈硬化の予防にも働くことが分かります。
動脈硬化は心疾患や脳血管疾患だけではなく、高血圧のリスク要因でもありますので、海藻類が“長寿の食べ物”だというのも何となくうなづけます。
下の表は、水溶性食物繊維の含有量を一食分に直したランキングです。
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これを見ると、ヒジキと寒天、海藻類がワン、ツーを占めています。
食品を絞り込んでいるのか、モズクやアーサは出てきませんが、ほぼこれに近い水溶性食物繊維を含んでいると思ってください。
フコイダン
水溶性食物繊維の一種で、モズクやコンブ、ワカメ、メカブなど褐藻類に含まれる特有のヌメリ成分、フコイダンが近年とくに注目され、研究も進んでいます。
フコイダンには、抗ウイルス作用に加えて、抗ガン作用等さまざまな生理機能が解明されています。
抗ガン作用について言わせていただくと、フコイダンに抗ガン作用があれば、それはそれで嬉しい限りです。
が、その点を猛烈にアピールした、おそらくガン患者さんをターゲットにしていると思われるフコイダンのサプリメントは少し疑問符が付きます。
Googleで[フコイダン]と検索すると、上の方にフコイダンサプリメントの広告が表示されています。
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見ると1箱(1本)1万円以上とか、高いものになると5万円近い商品も見つけることができます。
低分子だの高濃度だの、目一杯の宣伝文句で付加価値が高いことをアピールしています。
ただ、フコイダンの抗ガン作用が注目されているとは言っても、フコイダンがガン細胞を消滅させるというエビデンス(科学的根拠)があるワケではありません。
おそらく、ガンの予防には有効かもしれませんが、治療効果は現在のところ未知数です。
大金を叩いて効果なし、ということもありますので、くれぐれも気をつけて下さい。
ヨウ素の過剰摂取について
ヨウ素を長期間過剰に摂取すると、甲状腺機能低下症、甲状腺腫、甲状腺中毒症が起こる可能性があります 。
それ以外にも、体重減少、頻脈、筋力低下、皮膚が熱いなどの症状が見られることもあります。
多くの場合、ヨウ素の摂取を控えれば元に戻りますが、それでも摂り過ぎには注意が必要です。
日本人成人の耐用上限量(安全だと思われる上限)は3,000μg、3mgです。
ヨウ素を多く含む食品のランキングはこの通りです。
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圧倒的に昆布です。
1位から3位までを独占、しかも量が桁違いです。
ですから、沖縄の人も沖縄以外の人も、毎日のようにコンブ(クーブイリチー)を食べるのはお薦めできません。
コンブは時々にして、いろんな海藻類をバランスよく食べることをお薦めします。
まとめ
海藻類に含まれる栄養素、一つ目はミネラルです。
カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、ヨウ素などがあります。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料であり、ヨウ素が不足すると新陳代謝が滞ったり、成長ホルモンの分泌が悪くなったりします。
また、最重要ミネラルであり、日本人が不足しがちなマグネシウムも、海藻類から摂りたい貴重な栄養素です。
海藻類に含まれる栄養素、もう一つは水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維の効果は、便通改善、善玉菌を増やす、血糖値・コレステロール値抑制、有害物質の排除です。
水溶性食物繊維は、腸内環境の改善に大きく貢献するだけではなく、糖尿病や動脈硬化の予防にも働きます。
水溶性食物繊維の一種であるフコイダンは近年とくに注目され、、抗ウイルス作用に加えて、抗ガン作用等さまざまな生理機能が解明されています。
ただし、フコイダンがガン細胞を消滅させるというエビデンス(科学的根拠)はありません。
それを匂わせる高額なサプリメントには注意が必要です。
ヨウ素を長期間過剰に摂取すると、甲状腺機能低下症、甲状腺腫、甲状腺中毒症が起こる可能性があります。
含有量がとくに多いコンブの食べすぎは気をつけてください。
この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。