見出し画像


「これで何の後ろ盾も無くなった」

4/1という日。
多くの方にとっては新生活の始まり。
が、私にとっては本当の意味での闘いの始まりを告げたのだった。


3/28に現地入り、3/29から始まった福知山での一人暮らし。
3日とちょっとの間はまだ私の身分は保証されていた。
有給消化という会社とのつながりがまだあったのだ。
しかし、4/1を迎えるにあたりその関係にも終止符が打たれた。
何の後ろ盾もない、しがない30歳の無職の誕生である。


覚悟はしているつもりだった。
だが、現実は想像とは全く異なっていた。
自分でも引くぐらい、ビビり始めていたのだった。
他の誰でもない、これはお前の物語だ。
好きなゲームのセリフで自分を勇気付けようとするも効果はいまひとつ。


日課の散策をしていると気がつけばある場所に来ていた。
というよりも誘われたようにも感じる。
場所は祖父の眠る墓地であった。
軽く掃除をして手を合わせると、様々な感情が湧き起こってきた。


祖父が生きてたら、この決断に何と言うだろうか。
優しかったから励ましてくれただろうか。
それとも全力で止めただろうか。
ただ、一度始めた以上、自分でケツを持たなければならない。
ここで私は本当の意味でスタートしたような気がした。
絶対にこの決断を後悔のないものにする。
あの時の自分の判断は正しかった。
笑いながら語れる未来を手に入れてみせる。
力を貸して下さいとは言いません。
ただ、天国から見守ってて下さい。

祖父に恥ずかしくない生き様を見せる。
こう決意をして墓地を去った男。
その男の背にはもう迷いや恐怖心は微塵も感じさせなかった。
ただ成すべきことを成すのみ。
男の肝が据わった瞬間であった。


次回「一閃(いっせん)」
〜アパートに乾いた破裂音が鳴り響く〜

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集