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フライパンと鍋のセットはいったいどこに

少し寝坊をして目が覚める。ぼんやりとした頭の中でスマートフォンの画面に通知があるのに気がつく。大家さんからの連絡だ。

「無事にフライパンと鍋のセットを受け取れたので、玄関に置いておきますね。」との連絡が1時間前に。なんとなんとと、まだぼんやりとしたパジャマ姿で玄関の扉を開ける。

しかしそこにはなにもなく、いつもどおりの玄関がそこにあるだけだった。そのセット(おそらく高価な調理器具たち)がそこにはない。

大家さんにすぐに連絡をしたら、「隣人が保管しているかもしれないので安心してください。」とのこと。

その日は一日中玄関を気にしながら過ごした。夕方を過ぎたら、帰宅をした隣人がそこに鍋とフライパンを持って、挨拶に来てくれるかもしれないと。しかし、それもなくその日は夜になり、赤ワインにチーズをつまみ、眠りについた。

翌朝に大家さんから連絡が。

「やはり盗られてしまったそうです。新しいのを注文したので、今晩持っていきますね。」とのこと。大家さん、本当にとてもとても優しい。

オートロックのかかるマンションだったとしても、扉の前に何かしら興味を惹かれるものがあれば、それは持っていかれる。わりと穏やかな地域だったとしても。これがパリに移住をしての最初の教訓になった。

夜に大家さんがフライパンと鍋のセットを持ってきてくれた。これからパスタやスープも作れそうです。

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