東北大学の現代文【大学入試現代文analyze⑬】2023版
前回の分析
〇マクロ分析【問題構成の変遷】
・大問1【評論】
→漢字+記述(合計200字ぐらい)という構成。2020年は文章も記述も分量が少ない。(これは大問2も同様)難易度は普通の東北大(=難しい)なので、古文漢文が多かったのかな?
・大問2【小説】
→語義問題(2-3題)+記述(合計200字ぐらい)という構成。小説問題のクオリティは本当に高い。なお出典は中学受験に近い。
〇ミクロ分析【文章/設問の分析】
・大問1【評論】
<文章>
【分析】
・文章量 : やや少なめ~標準
→ 2020年は外れ値か。だいたい4,000字ぐらいと想定しておけばいい。ただし文章内容は難しい。
・文章の傾向 : 哲学系?
→経済や生物学がテーマの文章でありながら、最終的には哲学につながっている……というイメージ。
<設問>
【分析】
・記述
<換言問題> 94%(比喩換言31%/定義語換言63%)
<理由説明> 6%
→ほぼ換言問題。定義語にしろ比喩にしろ、傍線部表現の本文中の意味を答える問題が中心。つまり、文章がどこまで読めているのかを問うている。
・大問2【小説】
<文章>
【分析】
・文章量 : 標準的
→通読だけなら7-8分程度。評論よりもやや長い。小説は上手く場面を切り取らないと問題が成立しないから仕方ないかな。
<設問>
【分析】
・記述
<漢字問題> 20% : 標準的
<心情問題> 65%
<換言問題> 15%
→ 心情問題は心情や様子(言動・態度)の原因となる出来事を押さえることを意識しよう。それが出来れば最低限の得点は可能である。また、換言問題はほとんどが「比喩換言」である。文脈から離れた解釈をしないように。
〇対策法
・想定時間配分
試験時間:150分
想定時間配分
現代文(大問1~2)80~90分
古文漢文(大問3)60~70分
→試験時間が伸びて、かなり解きやすくなった。(その分字数がやや増えたが、そこまで負担にはなっていない)その分、解答のクオリティを高める必要がある。
そんなことも含めて、現代文を80-90分ぐらいで処理できるぐらいが理想かと。
・設問分析
①「文章全体を踏まえる」問題<評論>
→年度によって出題されなかったりするが、出題された場合は東北大学は北海道大学、神戸大学と同様に「これまで解いた問題と解答根拠が重なる」「これまで作った解答の一部を使って問題を解く」タイプの問題である。前の問題と解答根拠が重なろうとも気にせず解いていこう。
②「文章全体を踏まえる」問題<小説>
→小説においてはこの条件は評論とは異なる。(やや重なることもあるが、、)この条件は「本文全体の主題」についての理解が問われている。この条件の難しさ話全体の主題(テーマ)が理解できていないとそもそも解答の方向性を決めることすら困難である、と言うことだ。
ちなみにこういう問題は中学受験の難関校では多く出題され、その理解が出来るようにこちらも指導していく。よって、中学受験経験者の方が圧倒的に有利な問題だ。(東北大学側はそんなことを意識していないだろうが、結果としてそうなっている)
ただし、小説を読むことが趣味でこれまで多読してきた受験生にはさにあらず。自信をもって解いていただきたい。
・タテ?ヨコ?
基本的にはタテ(過去問を古い年度まで掘り下げて実施)がおすすめ。
問題傾向も形式もそこまで大きく変化していないからね。過去問を掘り下げていきましょう。
以上。次回は上智大学総合人間科学部の分析です。