早稲田大学文学部の現代文【大学入試現代文analyze⑧】2023版
前回の分析
〇マクロ分析【問題構成など】
・年度別受験者平均点と合格点の想定
2023 51点/75点(68%)
2022 44点/75点(59%)
2021 57点/75点(76%)
2020 49点/75点(65%)
2020年以降は難易度が隔年傾向にある。奇数年の平均点が高く、偶数年が低いということになる。目安程度に認識してくれるとありがたい。(責任は取らない)
ここから合格に必要な点数を考える。2024年試験を見据えるために2022年のデータをもとに算出する。
2022年入試の合格最低点は131点である。
公表されている英語、国語、歴史(日本史も世界史も平均点がおなじぐらい)の受験者平均点を足すと114点となる。
両者の差の17点を配点(英語75 国語75 地歴50)で傾斜配分すると、国語で6点の加算が欲しい。つまり、50点となる。
よって、偶数年は65%(50点)~70%台(55点)以上の得点が必要となると認識されたい。
・設問別分類
・【分析】
①設問数は大問1は8題。大問2は8~9題。なお、2021年の大問2の最終問題は不成立。
②選択肢と空欄補充問題が中心。近年は選択肢問題が中心。かつては空欄補充が多かった。
③脱文挿入、抜き出し、文整序は出たり出なかったり。
④記述問題、無くなっちゃったな。
〇ミクロ分析【文章/設問の分析】
<文章>
【分析】
・文章量 : 標準的
→大問1は5,000字程度、大問2は3,500字。それぞれ8分、6分程度通読に掛けられる。標準的な文章量。
・文章の傾向
<大問1> 現代社会論(出典が最近のものが多い)
<大問2> 人文学系の文章
→それぞれ特徴的であるが、早稲田大学は大問1のような現代社会に関する文章が本当に好きだねえ、と思う。
<設問>
【漢字】標準的
文学部志望なら全問正解を目指そう。
【選択肢問題】
<換言問題> 69%
<理由説明> 14%
<内容一致> 各大問に1題(2021以降。ただし2021年大問2は不成立だった。)
→換言問題はほとんど(換言問題の中の72%)が定義語換言である。本文中の定義を確認することが求められる。比喩解釈の問題が少ないので正答率が比較的高めなのかもしれない。
【空欄補充問題】
語句を挿入する問題と文章を挿入する問題に分けられる。この点は商学部・社会科学部に近い。よって以下は商学部の分析と同じ文章を再掲しておく。
空欄補充なので前後の文脈から適語を考える、という作業なのだが、そこに「語彙力」の有無が絡んでくる。つまり、空欄に入る適切な内容が分かっても適切な語を選べなければ正解できないのだ。これは早稲田の他学部でも同様である。
〇対策法
・想定時間配分
試験時間:90分
想定時間配分
大問1・2 40~50分程度
→問題の質の割には平均点が高いのが文学部の国語。そういう意味ではこの問題が40~50分ぐらいで解けないといけないのだろう。ただ、奇数年の問題は秋口の現役生でもほぼ全問正解となることもあるので、しっかりと時間をとって満点を狙うのも一つの戦略である。
・設問別の対策法
【選択肢問題】
本文中の解答根拠と正解の選択肢が「同じ意味の別表現」となっていることを確認する。
これは早稲田に限ったことではないが、「同じ意味の別表現」を見抜く力がとくに求められるのが早稲田大学の現代文(と共通テスト・センター試験の現代文)なのだ。
【空欄補充問題】
先述の通り。
【その他の問題】
文整序はパズルである。選択肢同士の組み合わせから全体像を作り上げる。
脱文挿入は脱文内容を確認する。接続語や指示語ばかりに頼らない。脱文内容から挿入すべき箇所を決定する。
・タテ?ヨコ?
タテ(過去問を古い年度まで掘り下げて実施)は数年分、ヨコ(早稲田の他学部)の問題も現代文は手を広げてみるといいだろう。おすすめは商学部である。
また、選択肢問題の本文中の根拠と正解選択肢の対応の基礎練習としてセンター試験(共通テストも)も有効だ。これは共テ対策と並行して実施するイメージでOK。
以上。次回は金沢大学の分析です。