金沢大学の現代文【大学入試現代文analyze⑨】2023版
前回の分析
〇マクロ分析【問題構成(の変遷)】
・大問1
後述するが、出題される文種が年度によって異なる。作問者の裁量が非常に大きい試験なのか?受験生にとっては対策しづらいことこの上ない。よって、設問の構成も年度によって大きく異なる。
〇ミクロ分析【文章/設問の分析】
<文章>
【分析】
・文章量 : 4,000字前後
→2023年を外れ値と考えると、4,000字(弱)程度となる。
文章を通読する場合、6~8分位かかるだろう。
・文章の傾向 : 傾向無し。というよりも…。
→2021年は小説から出題された。他は評論である。なお、小説は2019年にも出題された。隔年傾向になるか……と思いきや、そんなことはなかった。
<設問>
・漢字 : 標準的(全問正解を目指す)
・記述
<評論> やや平易。ただし…
→ 設問分析を経て本文中に根拠を求める作業そのものは難しくない。また、解答そのものも本文の表現を(ある程度)そのまま使える。組み立てやすい記述である。
ただし、設問条件がやや細かい。そこを外すと失点が大きくなる。また、その指示が(たぶん特定の作問フォーマットが無いので)年度によってややバラつきがある。特に2023年の「事柄」を答える問題は一般化した事柄か具体例を用いるのかが判断しづらい問題であったが、結果として本文中の例示を踏まえて学校公表の解答がつくられている。
<小説> 点差がつく難しさ
→ 部分読解に加えて全体読解が求められる設問である。各部分の場面での出来事を踏まえた因果関係から心情を考える作業に、本文全体のテーマを踏まえなければならないという難しさがある。中学受験の最難関校の記述問題に近い。ただし、これは人によっては難なくとってしまうだろう。その意味で点差がつきそうな問題だ。
・その他の問題 : 標準的な難易度
〇対策法
・想定時間配分
試験時間:90分
想定時間配分
現代文(大問1)45~50分
古文漢文(大問2・3)40分
→大問3つで90分なので分量はやや多い。
ただ、とは言え文章量が(2023年)以外は多くはない。そして古文漢文も文章量、問題量ともにそこまで多くはない。よって試験時間の半分程度を現代文に費やせるようになると良いだろう。
・設問分析
①通読してから?読みながら?解く??
<評論>
通読してからがおすすめ。作問自体が論のまとまりをあまり意識していない上に、文章も短いことが多いので問題ない。ただし、読みつつ解き進めても作業場の問題はない。
<小説>
通読がマスト。文章全体の主題がつかめないと「浅い解答」になってしまう。文章を通して何を伝えようとしているのかを登場人物の描写を通して理解していこう。
②設問指示をしっかり守る
→先述した通り。設問指示がやや厄介であり、なおかつ守らないと失点が大きくなるので「何を答えるのか」の整理を徹底しよう。
・タテ?ヨコ?
評論はタテ(過去問を古い年度まで掘り下げて実施)がおすすめ。
小説はヨコ。東北大学や筑波大学の問題をつかおう。
以上。次回は早稲田大学法学部の分析です。
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