最近の記事

本当に美しいものは金にならない 「盗作」と「だから僕は音楽を辞めた」

「母さん、仕事続けられないって。ガラスは、お金にならないんだって。」 恐らくここには作者の世の中に対する不満の意が込められている。 「盗作」の小説の一節から分かる通り盗作家は母親のガラス工作物を美しいものとして認めている。教会の窓などに使われるはずのそれははんだ付けのために金属線を用いていたり、特殊な工具でガラスを割ったりと様様な工夫がなされており、創作物を作るにあたって得られる一種のカタルシスであり、美しさの一要因としての役目も果たしている。とても美しいものだ。 盗作家

    • そうなって欲しい

      「皆が同じ風に聞こえてたらいいのにね」「全員が同じ価値観を持って、1枚の絵が描けたらどれだけ綺麗だろう。その絵はどこまでも美しく、広大で、そしてきっと、ぞっとする程つまらない」 レプリカントの「もしも世界が真面になって」というフレーズが脳裏に浮かんだ。もし人々の心が同じなら、みんながその絵の一番美しい姿を知っていて、互いに共鳴し合い、なぜその絵がそう描かれなければならないかさえも、全てを理解するだろう。しかし捉え方は最高のただ一通りに定まる一意性を持っているが、それは

      • #ヨルシカ_盗作レビュー

        小説を読んで 読んだ後作品自体がとても愛おしく感じた。額を本に当てたり、頬で摩ったりした。ほとんど無意識に。綺麗だった。こうして中身の無い感想を書いているのが馬鹿らしく感じられるほど水に垂らした絵の具が広がっていくように哀愁の美しさのようなものが心の内に染まっていった。

      本当に美しいものは金にならない 「盗作」と「だから僕は音楽を辞めた」