なんもだよ。
「試される大地」とは北海道の別名だが、何を試されているかは、実のところ道民もわかっていない。
我々は本当に試されているのか?
多分、この問いに対しては、道民のうちの数%は「イエス」と答え、また違う数%は「はい」と答え、またさらに違う数%は「んだ」と答えるだろう。
そりゃ、たまに来る台風は大体がニュースで散々「勢力を増して」という言葉を身に纏った姿だし、冬は冬で一晩に数メートル近くの雪が積もるし、最近は夏でもないのに日本で一番暑い地点になったりしているから、「試されてるな…」と思うのも無理はない。
でも、そんな道民は一つ、便利な言葉を知っている。
なんもだよ。
この言葉の使用域はとても広い。
誰かからのお礼に対して「なんもだよ」
誰かからの謝罪に対して「なんもだ〜」
誰かからの労いに対して「なんもなんも」
色々な場面で使える魔法の言葉だ。
私も道民なので、この言葉はよく使う。
正直、慣れるととても便利な言葉なのだ。
使用域が広いだけではなく、なんとなく、相手からの感情やこちらからの押し付けがましさを和らげてくれる、そんなクッションみたいな言葉なのだ。
試される側だからこそ、お互いを尊重し、感情を暖かく包み込む言葉が必要なのかもしれない。そうしないと、生きていけなかったかもしれないから。
一度使うと病みつきになる便利な言葉、これを機に、本土の方々にも是非「なんも」のネイティブになっていただきたい。
したっけ。