がっこうはじごくかてんごくか |読書感想
私はがっこうはじごくだったタイプです。
がっこうはじごく / 堀静香
を読みました。
タイトルにある通り、学校をテーマにしたエッセイ。
学校について3つの目線から語られています。
いま学校で働く教員として、過去に学校に通っていた生徒として、いずれ子を学校に通わす親として。
私もかつては生徒であり、幼い子を育てる親でもあるので、2つに関しては共感もありつつ、教員目線の部分に関しては発見というか視野が広がった感じもして、お得な気持ちになる一冊でした。
私が学校(特に高校時代)を思い出していちばんに考えるのは「嫌だったなあ〜」ということ。
なんというかこの本を通して「わかりあえなさ」のようなものを感じた。
結局人って何を考えてるのかわからない。
学校という均質化された空間で、浮かないように気をつける。本音を押さえつける。それで学生時代に随分苦しい思いをした記憶が私にはあります。
問題を問題として捉えないことで自分を守っていた。ずっと中に浮いてる感覚だった。
大人になった今思うのは、それでも「わかろうとする」「わかってもらおうとする」のが人との関わりなのかなあと。
わからなくてもいいけどわかろうとしたかったし、でも本当はわかって欲しかったし。
私の学生時代にはそう言う経験が足りなかった。
記憶に蓋をして直視しないようにしている出来事がいくつかあって、そんなときにうまく人を頼ることができればよかったなあと当時を振り返って思う。ただ、頼ることができるのも強さだよなあと思う。それすらできない人はどうしたらいいんだろうね。
本の中にでてきた、「匿名で自分のことを書く」という取り組みがすごくいいと思った。そこで一歩踏み出せるかどうかが難しいと思うんだけど(匿名でも字で特定されるとか、どうせここで吐き出しても変わらないとか、学生の立場だったら考えると思う)苦しい思いをしている人が少しでも救われたらいい。
私にとって学校の全てが嫌な記憶になっているかというとそういうわけでもなく、時にキラキラ輝くような思い出もあるし、実際当時もそういう瞬間を大切にしてなんとか繋いできたなと思う。
息子もいずれは学校に通うことになるわけだけど、彼は学校をどう捉えるんだろうと考える。いま保育園で友達と楽しそうに関わる姿を見るとすごく安心する。私が学生生活失敗した感覚を持ち続けているせいなのか、不安になる瞬間もある。
親として「こうあってほしい」という気持ちはもちろんあるけど、押し付けることはしたくないし彼自身の気持ちもちゃんとわかりたい、そんな親でいたいと思った。
いろんなことを思い出した一冊だった。