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2万4千円のジーパンがくれたもの。
片付けにはまり、最後に洋服の整理をした時、自分の弱点にぶち当たった。着たい服がない。ファッションにあまり興味が無い、というかなんとなく避けてきた現実がそこにはあった。
わたしは衣食住のなかで、衣の優先順位が際立って低い。
私服の高校に通ったのは、オシャレがしたいからだと思っていたけど違った。高校には初めて見るタイプの個性的でオシャレな人がわんさかいた。みんな自分の魅力を分かっていて、それを表現していて素敵だった。わたしの原動力は、校則がイヤ、という事だけだったと気付いた。
そんな感じで洋服にお金をかけてきた経験がないまま30代になり、暮らしや食べ物にはそれなりにこだわりがあるのに、洋服だけは、なんだかしっくりこないままだった。
今年の春、お買い物大好き!な女子たちとおでかけした。彼女たちは自分の好きも、似合うも分かっていて、かわいくて、買い物が楽しそうだった。わたしもだんだん乗り気になってきて、いろんな洋服を見たり合わせたりしながらだんだん似合う似合わないが分かるようになってきた。
最初はプチプラファッションのお店を見ていたのだけど、なんだかしっくりこないねぇ〜という感じで、デパートへ向かった。
え。かわいい。
なんだこの差は。これが本物ってやつか。
今まで真剣に見たことのないデパートのファッションフロアでみんなできゃぁきゃぁ言ってはしゃいだ。明らかに全員のテンションが上がっていた。
プチプラ〜駅ビル〜デパートで、どんどん目が肥えてきてあたたまっていた私たちの目にふと止まった前ボタンのロングワンピース。リネン、黒、ひらひら。流行りのカタチだったけれど、刺繍があったり、ウエストのひもにフリンジが付いていたり、端々にこだわりを感じて、ひと目見てかわいいと思った。
オシャレ女子たちがわたしに似合いそうと言うので試着してみた。
え。かわいい。似合う。。。
全員一致でお買い上げ決定。
一気にテンションが上がって、ショートカットのかわいい店員さんに、着こなしを伝授してもらいつつ、ふと目に留まったジーパンも履かせてもらう。
え。なにこのしなやかさ。やわらかい!
「国産のジーンズなんですよ〜」とお姉さん。
チラッとお値段を確認したらまさかの¥24,000と。
え?と、2度見してもやっぱり2まん4せんえん。
そうかぁ。デパートってこうゆうお値段なのね。ちょっとドキドキしながらも心は決まっていた。
こうなったら、と腹をくくり、オシャレ女子がイチオシのターコイズ寄りの綺麗なグリーンのスカートも履いてみた。
はい。かわいい。
ショートカットのお姉さんに、これに合うトップスを持ってきてもらう。
タンクトップと、サマーニット。
Tシャツよりキレイめに見えるのでオトナの女性って感じで素敵です✨って。
いよいよお値段がドキドキし始めたのでチラッとニットを見ると¥3,800と。ん?思ったより安いなと思った。
もう、これは全部買うしかない!と腹を決め、魔法のカードを手にレジへ。
《最後のサマーニット、わたしが見たお値段はタンクトップのお値段でした。ニットは1本の糸を特殊な編み方で編む、ホールガーメントという製品で、お値段はタンクトップの3倍でした。笑》
レジでのやり取りも楽しかった。
お姉さんの接客が丁寧で、洋服が大好きな事が伝わってきて嬉しかった事を伝えると、すごく喜んでくれて、最後は2人で涙してお別れした。
もはや母の気持ち。お仕事、頑張ってね!って心から応援したい気持ちになった。
彼女への応援の気持ちと、楽しいお買い物時間を過ごさせてくれたお礼として洋服代を支払ったと思えた。そんな体験は初めてだった。
前にもスタバの買い物のことでも書いたけど、対面販売のメリットって、こういう人とのやり取りがあって、ストーリーが生まれて、愛着も湧いて、よろこびも一緒に買うところがいいなって思う。
新調したデパート・ファッションは周りからの評判も良く、このジーパンは履くたびに「わたしは2万4千円のジーパンを履くオトナの女✨」と思わせてくれるし、お値段以上の価値やよろこびを与え続けてくれている。
トップ画像のストールは、オシャレ女子と行った秋冬物ツアーで新しくうちに来た子です。あと、ユニクロのアウター。これは最高にあったかくて軽くてお値段以上過ぎて2色買っちゃった。
春のお買い物ツアーの後、今まで持っていたイマイチだなぁと思っていた洋服をバッサリ手放す事ができた。
楽しくお金を使うこと、似合うものがわかること、似合う洋服を身にまとい素敵に見えることはやっぱり嬉しいことだなって思った。
こころが満たされるお買い物から、スッキリしたクローゼットと、たくさんのよろこびと学びをもらった話。
これからは、本当に気に入ったものを気持ちよく買おうと思った、35歳冬、喧騒のサイゼリヤより。