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宇宙の謎に迫る!史上初の超高エネルギーニュートリノ検出 フランス国立科学研究センター(CNRS)
2023年2月、地中海の深海に設置された巨大なニュートリノ望遠鏡「KM3NeT」のARCA検出器が、約220ペタ電子ボルト(PeV)という驚異的なエネルギーを持つニュートリノを捉えました。このエネルギーは、これまでに検出されたニュートリノの約30倍に相当し、宇宙における極限のエネルギー現象や宇宙線の起源を理解するための新たな道を開くものです。
ニュートリノは、電荷を持たず、質量もほとんどない素粒子で、物質とほとんど相互作用しないため、「幽霊粒子」とも呼ばれます。そのため、検出が非常に難しく、宇宙の最もエネルギッシュな現象に関する独特の情報をもたらす特別な宇宙の使者とされています。
KM3NeTは、地中海の深海に建設中のキロメートル級のニュートリノ望遠鏡で、CNRS(フランス国立科学研究センター)が主導する国際共同プロジェクトです。この巨大な検出器は、ニュートリノを検出するために設計されており、宇宙の高エネルギー現象を研究するための重要なツールとなっています。
今回検出されたイベント「KM3-230213A」は、単一のミューオンとして識別され、検出器全体の3分の1以上のセンサーに信号を誘発しました。その軌道の傾きと巨大なエネルギーから、このミューオンは検出器の近傍で宇宙ニュートリノが相互作用した結果生じたものであると強く示唆されています。
高エネルギー宇宙は、銀河中心の超大質量ブラックホールへの物質降着、超新星爆発、ガンマ線バーストなどの劇的な現象の領域です。これらの強力な宇宙加速器は、宇宙線と呼ばれる粒子の流れを生成します。一部の宇宙線は、源の周囲の物質や光子と相互作用し、ニュートリノや光子を生成します。また、最もエネルギッシュな宇宙線は、宇宙マイクロ波背景放射の光子と相互作用し、極めて高エネルギーの「宇宙起源」ニュートリノを生成する可能性があります。
今回の発見は、ニュートリノ天文学の新たな章を開き、宇宙の最もエネルギッシュな現象を探求するための新しい観測窓を提供します。KM3NeTは、エネルギーと感度の範囲を拡大し、極限の天体物理現象からのニュートリノを検出することが可能となりました。このような観測により、宇宙の最も激しい現象のメカニズムを解明し、宇宙の果てまで探求することが期待されています。
この画期的な発見は、2025年2月12日に『Nature』誌に詳細が報告されました。
詳細内容は、CNRSが提供する元記事を参照してください。
【引用元】
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7