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細胞壁を持つ生命の起源は一滴の雨粒から?新研究が明かすプロトセル膜形成の秘密 シカゴ大学&ヒューストン大学

生命の起源に関する未解決の謎の一つは、約38億年前、単なるRNAの小さな液滴がどのようにして細胞壁を持つ生命体の前身「プロトセル」となったのかです。この疑問に対し、シカゴ大学プリツカー分子工学スクールやヒューストン大学化学工学部の研究者たちは、新たな洞察をもたらしました。

この研究では、「コアセルベート液滴」と呼ばれる、タンパク質やRNAのような複雑な分子で構成された自然発生的な液滴に焦点を当てています。これらの液滴は水中で油のように振る舞い、進化の初期段階でプロトセルとなる候補とされていましたが、従来の理論には一つの大きな問題がありました。液滴同士が分子を交換しすぎてしまうという点です。これにより、RNAが新たな変異を起こしてもすぐに他の液滴に拡散してしまい、差異がなくなり、進化が起こらないという問題がありました。

この課題に対し、研究チームは雨水に注目しました。特に、蒸留水にコアセルベート液滴を転移させると、液滴の周りにメッシュ状の膜が自然に形成され、RNAの交換が制限されることを発見しました。この現象により、液滴内のRNAは数日間安定し、突然変異や進化のプロセスが可能になります。これが生命の起源において非常に重要なステップであると考えられます。

研究は単に蒸留水で行われたわけではなく、ヒューストンの実際の雨水を収集し、実験が行われました。結果、雨水やその模倣水においても同様の膜形成が確認されました。これにより、約38億年前の地球上の環境条件下でも、このようなプロトセルが形成され、進化の基盤となる可能性が示唆されました。

今回の研究は、生命の起源に関する謎に一歩近づく成果であり、さらなる研究により、より適切な分子が見つかれば、生命の誕生の鍵となる化学的・環境的条件が解明されるかもしれません。この発見は、生命の起源における複雑なプロセスの一端を明らかにし、新たな視点を提供しています。

研究者たちは今後、より実際の条件に近い環境下での実験を通じて、プロトセルの進化のメカニズムをさらに解明していくことを目指しています。

詳細内容は、シカゴ大学が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7


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