細胞内の動きを光で解明する新技術「RNAランタン」誕生 カリフォルニア大学
生命の設計図であるDNA、その情報をもとに細胞内で指令を伝える重要な役割を担うのがRNAです。しかし、この小さな分子の動きを正確に追跡することは、これまで非常に困難とされてきました。そんな中、カリフォルニア大学アーバイン校(UC Irvine)の研究チームが、RNAの動態を光で追跡する画期的な技術「RNAランタン」を開発しました。この技術は、ウイルス研究や神経科学、さらには医学全般において新たな知見をもたらすと期待されています。
RNAランタンの核心は、生物発光の仕組みを利用していることです。ホタルが光を放つ酵素「ルシフェラーゼ」をRNAに結合させることで、RNAが細胞内でどのように動き、どこに集中しているのかを可視化することに成功しました。この発光技術は従来よりも格段に明るく、より鮮明な観察を可能にしています。
特に注目されるのは、この技術が体内の深部にあるRNAの動態もリアルタイムで観察できる点です。従来の技術では、光の強度が弱く、特殊な装置を必要としましたが、RNAランタンはその限界を大きく突破しています。
RNAランタンが最初に期待されている分野の一つが、ウイルス感染のメカニズム解明です。ウイルスは宿主の細胞に自身のRNAを注入し、それを使って増殖します。このRNAの動きを正確に追跡することで、ウイルスがどのように感染を広げるのかを細胞レベルで理解することが可能になります。これにより、新たな治療法の開発や感染拡大の予防策が見出されるかもしれません。
RNAランタンは、神経科学の分野にも革新をもたらします。脳内では、RNAが記憶形成に関与していると考えられています。特に神経細胞間のシナプスでのRNAの動きは、学習や記憶プロセスと密接に関連しています。この技術を活用すれば、RNAが脳内でどのように移動し、どのような役割を果たしているのかを直接観察することができます。これにより、アルツハイマー病やパーキンソン病など、神経疾患の解明にもつながる可能性があります。
この技術の開発には、薬学、化学、神経生物学など、多分野の研究者たちが協力しました。また、ホタルの生物発光を分子レベルで解析するというユニークな視点が成功の鍵となりました。
詳細内容は、カリフォルニア大学が提供する元記事を参照してください。
【引用元】
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7