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小説・ちんちん短歌

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短歌奴隷・公孫建は大伴家持の前で10年後、ちんちん丸出しで短歌を披露することになる。大伴家持は短歌が大好きで、ちんちんを丸出しのまま、建に短歌蒐集の旅を命じる。建はちゃんと服を着…
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記事一覧

小説 ちんちん短歌 第33話『フヒト④、ていうかウマーイ、そして、女の口まんこから…

 ウマーイは手勢を連れて常陸に入るやいなや、毛の蝦夷と一戦こいた。  合戦になるかと思わ…

小説 ちんちん短歌 第32話『フヒト③、というかミチヨ、そしてウマーイ』

 ウマーイは人ではない父・フヒトと、人やってる母の間に生まれた。  だから、半分、人で、…

小説 ちんちん短歌 第31話『フヒト②』

 不人(フヒト)は、その名の示す通り人ではなかった。  父にそう願われて名を付けられ、そ…

小説・ちんちん短歌 第30話『フヒト①』

 科学忍者村は建にとって、とても居心地が良かった。どうでもよかったからである。  浮島の…

小説 ちんちん短歌 第29話『セックス刑』

 小舟には、建だけが乗ることになった。常陸娘子の遺体の入った行李と、建が、ぽん、と船に置…

小説 ちんちん短歌 第28話『歌はいいから先へ』

 一歩歩くたびに、胸の傷の毒が体に染みていくのが分かる。よくないものが、じわじわと全身を…

小説 ちんちん短歌 第27話『心(シン)が死ぬ』

 心臓に近い位置だ、と思った、建。  左の脇の近くに、女から投擲された匕首が突き刺さっている。 ・・・・・・・・・・・・・・ 「ここを強く打つとね」  左胸の乳首の先に、冷たい青銅の矛の切っ先が触れる――これは走馬灯なのかもしれない。大伴家持から武技を習った時の事を思いだした。 「死ぬのよね」  当時、10歳くらいか。建が奴隷になったばかりの頃。裸でちんちん丸出しの建に、大伴家持は青銅の矛を突き付けた。 「基本、殺すときに狙うのは頭。次は首。だいたいそのあたり、兜や鎧

小説 ちんちん短歌 第26話『エモのスイッチをただ押しているようなつまんねえ尻振…

 令なる寒さが和らぎ、梅の花が咲くころになった。  村の農夫ら数名が、なんとなく区画を区…

小説 ちんちん短歌 第25話『ごはん、住居、そしてちんちん』

 色がある、と思った。色は、食えるのか、とも。  建の目の前に膳が供えられている。椀の、…

小説 ちんちん短歌 第24話 『万の葉』

 大偉川から海沿いの道を歩くこと、7日。  道中、建は朝露を飲み樹液を啜り、食べ物は、疱…

小説 ちんちん短歌 第23話 『人の営み』

 気がつけばその小屋で一晩を明かしていた、建。  この小屋は川渡しの順番を待つ臨時小屋で…

小説 ちんちん短歌 第22話 『サブカル貴族』

「さっきのあれ、『ムシオ』って子が話してくれたものだよね」  高橋文選の口から「ムシオ」…

小説 ちんちん短歌 第21話 『うんこちんちん』

 建はうなだれながら、ちんちんを見た。  真っ白なはずのちんちんが、茶色だった。  それは…

小説 ちんちん短歌 第20話『誰が死んだほうがいいか話し合う会』

 川渡しの男たちのねぐらで、誰が死んだほうがいいか話し合う会が行われようとしていた。していたが、しようとしていただけで、誰もしていない。全員、黙っている。  30人の痩せた男たち。ちんちん丸出しの、裸の男たち。なんらかの欠損がある男たち。肌に纏わる汗やよだれやうんこをちゃんと拭かないので汚い男たち。火が灯る囲炉裏を中心に、黙り、何か言おうとしているが、何か言うのが怖くて、どうしたものか、ただそこに居る男たち。  建も、その中にいる。  その中に居て、何もしていない。隣にい