【探究学習トップランナーインタビュー Vol.6】「教育に対話の場を創出するファシリテーター」
南あわじ市立神代小学校 藤池陽太郎先生
今回は淡路島の小学校に勤務していらっしゃる藤池陽太郎先生にインタビュー!
ファシリテーション手法を学びながら、総合プロジェクト学習を立ち上げた陽太郎先生。小学生を相手に対話を重視した教育を実践中のトップランナーです!
ーーお忙しい中ありがとうございます。今日はよろしくお願いします!まず、藤池先生はどのような想いでどのようなご活動をされているのかお伺いしたいです。
陽太郎先生:よろしくお願いします。藤池陽太郎と申します。現在、淡路島で小学校の先生をしています。大学では海外で働きたいという思いからフランス語を学び、その後フランスに一年留学したり、アフリカで生活したりという経験をしました。帰国後は実家が経営しているこども園の跡を継ぐために、教育大学の大学院に進学しました。卒業後は小学校の教員として5年間働き、その後実家のこども園で担任として働いたり、経営側にも関わったりしていました。
そのような経験を通して、教育や保育という分野にはさまざまな考え方や価値観が存在することに気づき、これからは単なるトップダウンのやり方ではうまくいかないと思うようになりました。「対話」を通じてみんなが同じ方向に向かっていくことができる組織作りが重要だと考えています。働く人たちがみんな幸せな状態だと、その中で育つ子供たちも幸せなはずです。
そんな時に、ファシリテーションという手法に出会い、深く追求したくなり、ファシリテーションの師匠が居た淡路島に家族で移住しました。思い切って移住して、1年半が経過しました。ここでは小学校の方で3年生の担任をしながら、ファシリテーションやいろいろな勉強を同時に続けています。
ーーなるほど、対話の環境を作るためのファシリテーションという方法なのですね。ではそんなファシリテーションの魅力とは何だと考えていますか?
陽太郎先生:ファシリテーションの魅力は、ファシリテーターが持つ人間性にあると思います。いろんなファシリテーターがいて、皆それぞれにスタイルやメソッドがあります。
特に、私が今学ばせていただいている淡路島の青木マーキーさんは、全ての参加者が根っこからつながる感覚を持つことができるような場づくりをされる方です。1時間、2時間といった決められた時間のワークショップの中でみんなで根っこから繋がって場を作っていくという考え方を実践しています。また、ファシリテーションは簡単には教えられない。という言葉がある程、ファシリテーションのスキルやメソッドは自分の身をもって感じなければ身につかないものです。今は子供たちや先生とワークショップをする機会も多いのですが、みんな繋がっていて、みんなで作って行くという意識を持つだけで参加者の主体性は上がっているように感じます。
目標はみんなが自分を出すことに対して安心できるベースのある雰囲気を作ることです。1年で作り上げるのは難しいでしょうが、数年かけて学校の先生方と一緒にそんな環境を作っていけると、きっと幸せな学校になると思っています。
ーーやはり対話の肝は「心理的安全性」なのですね。では、実際にファシリテーションによってどのような変化がありましたか?
陽太郎先生:僕はイラストを使ったファシリテーショングラフィックという手段で対話を促進しています。対話の中で用いることでより活発な議論ができるようになりました。でも一方で、発散した議論を決断にまで落とし込んでいくことはまだまだ難しいです。授業にも取り入れていますが、「総合」という科目の中で何か形として落とし込まないといけないところに難しさを感じています。
ーー総合の授業の中で「プロジェクト学習」というものを始められたとお伺いしました。これはどのような意図のある学習なのでしょうか。
陽太郎先生:この授業は総合の時間で社会と子供を繋げたいという想いのもと始めました。子供たちが自分事として社会課題に向き合うために、子供達が課題を自分で選び、解決のために学んでいくという学習です。単に社会問題を調べて、発表する、だけではなくその学習の中でいろんな人と出会い、接する中でひとりひとりが自分の生き方を見直す機会にできればと思っています。そういう意味で、「必然性」のある出会いの元にある「本物の学び」を目指しています。
ーー「必然性」、「本物の学び」、現状の教育現場で課題として認識されているものでもありますね。昨年のプロジェクトでは、おでんを販売されたと伺いました。
昨年、4年生で学ぶテーマが福祉であったため、総合の時間では食を通して福祉について考えました。その中で、地域の高齢化問題に対して、自分たちにできることの一つとしてお弁当を作ってあげたいという意見が上がりました。そのころはコロナ期間中であり、自分たちで届けられなかったため、一緒にお弁当を作ってくださる福祉施設を見つけたところから始まり、メニューや食材を夏休みの間をかけて沢山調べました。
その中で、お年寄りの方の栄養や届ける時期が真冬だったことなどもあって、おでんに決まりました。そしてそれを淡路島の食材を使って地産地消で作り、お年寄りの方々が食べなれたものにしたいということになりました。また、ただ食材を使うだけじゃなく、それらの淡路島の食材に込められた想いを理解することも重要な機会だと考えました。そのために生産者や関係者の方をお呼びして育てる苦労やその食材の歴史などをお伺いしました。子供たちにとっても印象深くて、思い入れの強いおでんができたと思います。プロジェクトを通して、子供たち、地域の方々、生産者の方々など、様々な人と人との繋がりを感じることができました。
学習の様子はこちらから!
ーー最後に、1年間の実践を通して、次に行動していきたいことはありますか。
陽太郎先生:ファシリテーターとして考えると、来年にメンバーが変わるとまた違う雰囲気になるでしょうし、変化した中でも、自分が力を抜いてフラットでいれるようにしようと思っています。そこにいるメンバーの雰囲気に自分が合わせながらみんなで何かを作っていくことが理想だと思っています。メンバーにはそれぞれ価値観もあってそれがぶつかることもありますが、そんな対話の場を通して自分自身を見つめ直して、整理できる機会を小学校やいろんな場で作っていきたいです。
ありがとうございました!ファシリテーションを通して対話の場を作る藤池先生。その想いは「本物の学び」を作るプロジェクト学習に現れているようでした!ファシリテーターとして、教育者として、今後のご活躍が楽しみです!最後まで読んでくださりありがとうございました!
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